注目映画紹介:「北のカナリアたち」 タイトルの由来が物語の展開とともに納得がいく

「北のカナリアたち」の一場面 (C)2012「北のカナリアたち」製作委員会
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「北のカナリアたち」の一場面 (C)2012「北のカナリアたち」製作委員会

 湊かなえさんの「二十年後の宿題」(幻冬舎文庫「往復書簡」に収録)を基に、阪本順治監督が映像化した「北のカナリアたち」が3日から全国で公開された。ある事件をきっかけに、かつての教師と教え子が再会。それによって20年前に起きた出来事の真実がときあかされていくヒューマン作だ。教師を演じたのは吉永小百合さん。教え子たちの20年後を森山未來さん、満島ひかりさん、勝地涼さん、宮崎あおいさん、小池栄子さん、松田龍平さんが演じるほか柴田恭兵さん、仲村トオルさん、里見浩太朗さんら豪華キャストが勢ぞろいしている。

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 東京で図書館司書をしている川島はる(吉永さん)の元に、刑事が訪ねてくる。かつての教え子の一人が、ある事件を起こし逃走中だというのだ。はるの脳裏にまざまざとよみがえる20年前の出来事。はるはその元生徒の行方を追い、かつての教え子たちを訪ね歩くことにする……というストーリー。

 20年前、北海道の離島で教えていたころのはる先生と子供たち。一人の生徒の歌の才能をいち早く見抜き、彼らに歌うことの喜びを教えた優しい先生が、なぜ島を離れ、今は図書館司書をしているのか。その理由が、北海道の厳しくも雄大な、ときに優しい風景の中で描かれていく。撮影は「劔岳 点の記」(09年)を監督した木村大作さん。自然を美しく切り取りとった映像もまた、今作の見どころだ。

 仲村さんが演じる警察官・阿部の人物像を、もう少し踏み込んで描いてほしかったと思う一方、「北のカナリアたち」というタイトルの由来が物語の展開とともに納得のいくものとなり、ミステリータッチの物語は感動のクライマックスへとなだれ込む。20年前の子供たちの美声に心が洗われ、とりわけ山下達郎さんが作詞・作曲した「クリスマスイブ」を歌うその声には聴きほれた。3日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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