イランでの幼少期と欧州での少女時代を描いた自伝的マンガを自ら映画化した「ペルセポリス」(07年)のマルジャン・サトラピ監督の最新作「チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢」が10日、公開された。今回も自身の作品「鶏のプラム煮」が原作となっている。共同監督・脚本は、前作同様にバンサン・パロノーさんが務めた。天才音楽家ナセル・アリは、大切なバイオリンを壊され、同じ音色が出せる楽器が見つからないことに絶望し、死ぬことを決意する。ナセルが死ぬまでの8日間に自分の人生を振り返るというストーリーだ。
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前作「ペルセポリス」はアニメーションだったが、今作は実写。主人公ナセルを演じるのは「潜水服は蝶の夢を見る」(07年)や「007 慰めの報酬」(08年)に出演したマチュー・アマルリックさん。その母にイザベラ・ロッセリーニさん。ほかに、イラン映画「彼女が消えた浜辺」(09年)のゴルシフテ・ファラハニさんらが出演している。
実はこの映画、始まってまもなく主人公は死んでしまう。そこで驚いていると時間が巻き戻り、不思議な、しかし、とてもすてきな物語が語られ始める。死ぬまでの間にナセルは自分の人生を振り返り、8日目を迎えたとき、それを見ていた私たち観客は、この物語が、1人の男のちっぽけなメロドラマなどではなく、その男とその妻、彼が愛した女性の、壮大なラブストーリーであることに気づく。ちなみに、ナセルの“ミューズ”の名であるイラーヌ(ファラハニさん)はイランのことで、50年代を舞台にした今作で、過ぎ去ったイランの夢、存在し得たかもしれない民主主義の夢を表現しているという。50年代はじめ、イランは石油を国有化したことで米国からクーデターを仕掛けられている。そうした歴史的背景を踏まえて見ると、切なさが一層募る。10日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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