ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
話題の小説の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、越智月子さんの「スーパー女優A子の叫び」です。小学館出版局の石川和男さんに作品の魅力を聞きました。
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−−作品の魅力は?
誰もが目を奪われ、憧憬(しょうけい)のまなざしを向ける“銀幕のスタア”清宮朝子の謎の引退から半世紀を経て、突如、ブームが再燃。その裏で、朝子の素顔が明かされていくというお話です。「昭和の悪女」を描いて反響を呼んだ「モンスターU子の嘘」に続く「悪女エンタテインメント」第2弾になります。
−−作品が生まれたきっかけを教えてください。
「モンスターU子の嘘」刊行後、「昭和の女優さん」に深い関心を持っていた作者の越智月子さんと話していた時、ある著名な方に密着したドキュメンタリー番組に話が及びました。結局、彼女の素顔が「のっぺらぼう」のように何も見えてこなかったのですが、その時に感じた畏怖(いふ)の念のようなものが着想のひとつになっているようです。
−−越智さんはどんな方ですか。
もともと女性誌などのライターをされていたのですが、著者インタビューでお会いした直木賞作家の白石一文さんに「あなたは小説を書いたほうがいい」と口説かれたのがデビューのきっかけになった方です。「昭和」や「女性が無自覚に抱える暗部」のようなものを愛していらっしゃいます。
−−装画にえすとえむさんを起用した理由を教えてください。
本の帯だけでなくカバーも宣伝的要素を多分に含んでいると思い、当時の宣伝担当者・備前島に「モンスターU子の嘘」刊行時に、作品の世界観とシンクロするマンガ家さんとして、えすとえむさんの提案を受けました。人気のマンガ家さんで多忙を極めている方でしたが、ダメ元でお願いしたところご快諾いただき、たいへん多くの反響をいただくことができました。「スーパー女優A子」も、「悪女」つながりとしてシリーズ感を出すべく、依頼させていただきました。
−−作品にかかわって編集者冥利に尽きることや、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
主人公のA子やU子が、作者の越智さんに乗り移って「化けて」いくような感じがして、作者の越智さんがよだれを垂らしながら書いているようなすごみ(笑い)を感じたのを覚えています。とはいえ、木から仏像を彫りだすような作業なので、登場人物に命が吹き込まれるまでには、一筋縄ではいかない長い時間が流れていきます。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
「昭和の悪女」シリーズとして、第3弾を考え中です。それぞれの作品で、微妙に登場人物がかぶるようなちょっと変わった3部作になりそうです。おかげさまで、男性読者以上に、女性の読者の方々の支持をいただいている印象を受けています。「昭和」の時代をあまりよく知らない世代の方々からも、反響を寄せていただいております。
小学館出版局文芸 石川和男
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