アニメーション監督の押井守さんとマンガ家の藤原カムイさんが23日、新電子コミック「コミックアニメーション」の記者発表会に出席。電子コミックの新しい表現方法として注目されるコミックアニメーションで新作「ちまみれマイ・らぶ」の原作と監督を務めた押井監督は「マンガよりもアニメーションの仕事に近いと思いました。一人で全部できるわけでもないし、スタッフも10人くらい必要になったし、音楽の入るきっかけとかを考えると、基本的には映画を撮るのと変わらない。もうちょっと楽ちんな仕事になると思ってたので、半分後悔してます」と冗談交じりに話していた。
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コミックアニメーションは、電子出版社のコミックアニメーション社が手がける新たな電子コミック。単に紙の本を電子化するのではなく、電子コミック専用にコンテンツを作り、マンガとアニメの文化を取り入れて世界に発信しようという試みで、iPhone、iPad向けアプリとして提供。第1弾では、押井監督が原作と監督を務めた「ちまみれマイ・らぶ」(脚本:山邑圭さん、キャラクターデザイン:左さん、ディレクター:水野歌さん、ロマのフ比嘉さん)、藤原さん作画の「銀色のうさぎ」(原案:久保淳さん、脚本:伊藤和典さん)の新作2本の日本語版と英語版を20日に同時リリースした。
「ちまみれマイ・らぶ」は、献血マニアの高校生(僕)の生活に、美少女の吸血鬼「マイ」が舞い込んだことで繰り広げられる学園を舞台にしたドタバタコメディー。押井監督は「表現は非常にコミカルでドタバタでやってるんですが、お話自体はかなりシリアスで、バイオレンスも入っています」と説明。演出については、「モニター上で見るマンガは今までもあったが、コマ割りの代わりにどうやってマンガを見せたらいいのかというところが一番難しかった」と振り返った。
一方、妖怪の世界に迷い込んでしまった少年の冒険を描く「銀色のうさぎ」の作画を担当した藤原さんは、電子コミックについて「どうも納得いく形が出てこなかった。どういったものが電子の上で表現できるのかということをずっと模索していた」といい、今回の作品は、キャラクターと背景などを何層かの「レイヤー」として個々に動かす独自の演出方法を取った。「まずこの作品を形にするのが一番の使命だったので、次ははっきり確約はできませんけど、電子コミックという形にはずっと興味を持っているので、このスタイルにとどまらず、実験的なことは時々にやりたくなると思います」と意欲をみせていた。
両コンテンツはAppStoreでアプリを無料ダウンロードした後、iTunesで1話ごとにダウンロード販売している。「ちまみれマイ・らぶ」は全12話で各話250円、「銀色のうさぎ」は全12話で各話170円。(毎日新聞デジタル)
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