中島美嘉:アルバム「REAL」発売 「休業中のつらい気持ちを乗り越えて曲ができた」

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 歌手の中島美嘉さんが、2年3カ月ぶりとなるニューアルバム「REAL」を1月30日にリリースした。10年に活動休止、11年に復帰して完成した今作は、「LOVE IS ECSTASY」「初恋」といったヒットシングルのほか、自らの体験をつづった新曲などを収録した意欲作だ。“リアル”を一つのコンセプトにして作詞に臨んだという中島さんに、アルバム「REAL」の制作について聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−新作「REAL」は、激しいロック、泣けるバラードなど非常にバラエティーに富んでいますが、どのように選曲をしたんですか。

 私、小難しいメロディーがあまり好きじゃなくて、1回聴いてなんとなく覚えられる曲調が好きなんですよ。だから、サビがポンとすぐ入ってきたり、ライブのことを考えて、みんなが口ずさめて楽しい曲調っていうので選んだり。あと、基本的にサウンドが強いものがすごく好きで、私はバラードのイメージが強いと思うんですけど、その半面“強い女性”みたいなものも好きでやりたかったんですね。

 −−12曲目の「エピローグ」のような3拍子のバラードもお好きなんですか?

 大好きなんですよ、3拍子。優しい感じがするし、どんなに歌詞の内容が暗かったり、悲しかったとしても、救われる感じがして。

 −−今回は作詞方法として、リアルなご自身を反映したということですが、等身大の歌詞を書こうと思ったきっかけは?

 それは、正直、書いてみないかという提案が(スタッフから)あったからですね。私はあんまり自分のことを書くのが好きではないんですが、確かに(活動休止などを経験した)今のタイミングで書くのはいいのかなと思って。自分だけのリアルじゃないにしても、友だちがつらい恋をしていて、それに対して“元気になってもらえたらな”と思って書いた「ピアス」という曲とか、みんなが体験しているようなリアルな話を書くっていうのはありました。

 −−ちなみに、作詞をする場所は決まっていますか。

 私はベッドの上が多いです。ゴロゴロしながらケータイで書いてます。横になってると頭が働きやすくなるんです。

 −−ではまず、自分の“生きざま”をつづったという曲「BE REAL」ですが、歌詞にあるように見た目で誤解されることが今まで結構あったんですか?

 やっぱり(見た目が)奇抜だし、ニコニコしてるわけでもないから、やる気がなさそうとか楽しくなさそうとか(笑い)。あと“クール”っていうのはいわれますね。全然普通にしてるつもりなんですけど。たぶん、髪形を変えたり自分の姿を変えるっていうのは、前に出たいからじゃなくて自分のストレス発散法だったと思うんですよ。だだ、それで目立っていろんなことをいわれたり。でも、今こうやって自分で仕事をして生きてるし、みんなも怖がらずにやりたいことをやってほしい、というのがメッセージとしてあります。こういう前向きな歌詞を書くのがすごく苦手で、難産でしたけど(苦笑)。

 −−「SUPREME」という楽曲は、街を行くカップルをちょっと冷ややかな目で見ているような内容ですが、これも実体験ですか?

 やっぱりこういう時期はありますよね。寂しい時期に楽しそうなカップルをいっぱい見ると「チッ」と思ったりとか(笑い)。最近はないんだけれど、これを書いたのが年末のクリスマス前で、「街はカップルだらけになるんだろうな。そういえばチッって思ってたこともあったな」って。でも一応前向きに終わらしてはいるんですよ。前向きというか、“上辺だけで付き合わないで。大事な人にはうそをつかずに、ちゃんと向き合って”という。

 −−また、ファンに向けた手紙ともいえる「LETTER」には「消えることだけを考えてた。歌うことに疲れていた……」「夜を泣き明かし……」といった赤裸々な言葉がつづられていますね。

 全部ホントのことです。最初に(両側耳管開放症で)耳がダメだってなったときに、「これはもう、歌えないんだ」と思って。だったら私はここにいる意味がないから、やめたほうがいいのかなって。それとも望みが少しでもあるなら、治療に専念するか、どっちがいいのかなっていうのは悩みました。休業が決まって、でもまだ世間には耳のことはいわずに仕事をしていた時期が一番(精神的に)キツくて、試練かなって思いましたね。でも、「いつまでも待ってるよ」っていうファンの言葉を聞いたら、歌をやめるという道は捨てて、復活以外はないなって。だから、待っていてくれたファンとスタッフには感謝です。こうして乗り越えて曲にすることもできたし。

 −−いろんな意味で起伏のあるアルバムになりましたね。ご自身としての手応えはいかがですか。

 いつも思うんですけど、今回は特にすごくいいアルバムができたなと思って。13曲入っている中でバラードが結構続くんだけれども、スピード感があって飽きない。“もう終わっちゃたんだ”っていう感じがして、それが心地いいというか。そこが私は好きなので、多くの人に聴いてもらえたらうれしいですね。

 <プロフィル>

 1983年2月19日生まれ、鹿児島県出身。01年にシングル「STARS」でデビュー。12年の「第63回NHK紅白歌合戦」に3年ぶりに出場。そのときのエピソードについて「私、演歌がすごく好きで、石川さゆりさんの『天城越え』が大好きなんですよ。だから『天城越え』を会場で生で聴けたときはうれしかったです。“こうやって歌うんだ”って(カラオケで歌うために)勉強しながら見てました」と語った。

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