シリーズ累計発行1400万部を誇る人気ライトノベル「とある魔術の禁書目録」が、原作の鎌池和馬さんが原案と構成を担当した完全オリジナルストーリーとして初の劇場アニメ化。「劇場版 とある魔術の禁書目録（インデックス）−エンデュミオンの奇蹟−」（錦織博監督）が23日に公開された。今作は超能力を研究する学園都市で起こる科学と魔術の戦いに、異能の力を打ち消す能力を持つ主人公が巻き込まれ活躍する姿を中心に描くSFアニメだ。

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　学園都市製宇宙エレベーター「エンデュミオン」の完成を目前に控えたある日、上条当麻（声・阿部敦さん）とインデックス（声・井口裕香さん）は、路上ライブで歌っていた無能力者（レベル0）の少女・鳴護アリサ（声・三澤紗千香さん）と出会い意気投合する。やがてアリサの元にエンデュミオン開通キャンペーンのオーディション合格の報が舞い込むが、そこへ魔術師を引き連れたステイル（声・谷山紀章さん）が襲いかかる。魔術サイドの襲撃に対して、学園都市側は女リーダーのシャットアウラ（声・日笠陽子さん）率いる秩序維持部隊「黒烏部隊（くろからすぶたい）」で応戦。ステイルに「魔術サイドと科学サイドの間で戦争を引き起こしかねない」といわれ、科学と魔術の両サイドから狙われるアリサの秘密とは……という展開。

　テレビシリーズのスタッフが再結集しただけあって、バトルのみならずアリサのライブシーンなどハイクオリティーな映像で物語に深みを持たせた。映像もさることながら、物語の重要なファクターとなる「歌」にも注目したい。「アリサの歌」として要所で披露される挿入歌の数々は各シーンを彩り、ある種、歌劇を思わせる演出は心にじんわりとしみてくる。また、タイトルにもある「奇蹟」と主人公の持つ異能の力を打ち消す「幻想殺し（イマジンブレイカー）」という、相反する二つの要素が並ぶことで、さまざまな深読みもでき、考えさせられる展開だ。もちろん「とある」ではお約束ともいえる当麻とインデックスのほっこりする掛け合いや、スピンオフ作品「とある科学の超電磁砲（レールガン）」の面々が登場するなど、シリーズファンにはうれしい仕掛けも。角川シネマ新宿（東京都新宿区）ほか全国で公開。（遠藤政樹／毎日新聞デジタル）