桜 稲垣早希の補完計画:「深夜食堂」 マンガのホイミです

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 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロイン・アスカの物まねで知られるお笑い芸人の桜 稲垣早希さん。「エヴァ」だけでなくさまざまなアニメやマンガ、ゲームが大好きという稲垣さんが、熱い思いを語ります。(毎月25日更新)

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 こんにちは! 今回は「深夜食堂」です。

 以前ドラマにもなってましたが、私は主にマンガで読んでいます。短編なので読みやすいのが気に入っている理由の一つです。いつでも買ってすぐ読めるので、本屋さんに行って他のマンガも買いつつ、もう1冊くらい買っておきたいときに、大抵この深夜食堂を手に取ります。

 以前書いた花のズボラ飯などグルメをメーンにしたマンガがはやってますが、この深夜食堂は、毎回人の人生の一部に深く関わった食べ物が出てきます。

 深夜0時から朝7時までオープンしている食堂で、のれんには「めしや」と書かれています。庶民的な料理なら大抵マスターが作ってくれます。お客さんがあずきの缶詰を持ってって「それでおしるこ作って」と頼んだら作ってくれるとっても融通のきくマスターです。

 このマンガを読んでいると、もちろん「おいしそう~。食べたくなったな~」という気持ちも生まれるんですが、なにより「こんなお店近くにほしーい!!」って思います。私は1人暮らしなので、仕事が終わって家に帰ると真っ暗で当然ご飯も用意されてません。なので、自炊したりスーパーでお総菜を買って帰ったりして食べます。外食するときもありますが、慣れない場所で1人で食べるのも落ち着かないので、早食いして、さっとお店を出てしまいます。

 でも、深夜食堂みたいなアットホームな場所があれば、最高です。行けばかならずマスターが迎えてくれます。第二の実家にできます。時には悩みを聞いてくれたり、楽しい話を聞けたり、隣の人が食べてるメニューがおいしそうだったら同じものを注文したり。なにより他のお客さんとの距離感が最高です。つかず離れず、絶妙な距離です。ほとんどは食堂でしか会わない間柄ですが、その中でケンカしたり恋が生まれたりします。もう想像するだけで楽しそう!

 それで、マンガの内容なのですが、短編で毎回話のメーンの人物が代わります。深夜食堂に来るさまざまなお客さんのお話です。私が好きなのは、4巻の第1話のお話です。うなぎのタレをマスターがうなぎ店の店主から譲り受けそれをご飯にかけてうなぎタレ丼をお客さんに出すのですが、最後の一杯を店主の息子が偶然食べるという話なんです。

 ほんわか感動ストーリーです。このほんわかというところが長く読みたくなる要素です。他にグロイ系のマンガを読むことの多い私は、そればかり読むと気持ちが病んでしまいそうになるので、途中で深夜食堂を挟みます。それでほんわかした気分になって気持ちを浄化させます。途中で挟むことによって回復されるので他のマンガもなんぼでも読めますし、お風呂や寝る直前に読んだらとってもいい気分で休むことができます。深夜食堂はマンガのホイミですね。回復魔法です。

 でも、突然エグイ話も入ってくることがあって、不意をつかれます。その時の破壊力は以前このコラムで書いた「魔法少女まどか☆マギカ」並みです。ゆる~い絵なのでギャップがすごくて、こっちのダメージもすごいです。

 でもね、この絵くせになりますよ~。出てくる料理がおいしそうでおいしそうでたまりません! ただのタコさんウインナーなのに、めちゃくちゃ食べたくなりますよ! 私は寝る直前に読むことが多いからおなかすいて眠れなくなるくらいです。どれも素朴な普通の料理なんですが、もうたまりません。

 とにかくこのマンガをまだ読んでない人は、1巻だけでもいいので読んでみてください。気付けばずーっと読んでしまってると思いますよ!

 ◇プロフィル

 桜 稲垣早希(さくら いながき・さき)=1983年、神戸市生まれ。07年2月に、お笑いコンビ「桜」を結成。07年の「M−1グランプリ」で3回戦に進出するなど活躍していたが、09年末に相方がコンビを卒業し、ピン芸人として活動。アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、アスカの物まねで知られ、バラエティー番組「ロケみつ」(毎日放送)でブレーク。「R−1ぐらんぷり」で2年連続で準決勝に進出したほか、「吉本べっぴんランキング」でも3年連続で2位を獲得している。最近ではバラエティー番組などでナレーションもこなすなど、芸の幅を広げている。

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