朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第107回 アンデルセン「みにくいアヒルの子」

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第107回はアンデルセンの「みにくいアヒルの子」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 突然ですが、皆さんは詩と俳句と和歌の違いはご存じですか?

 詩と俳句の違い、詩と和歌の違いはなんとなくわかるけれど、俳句と和歌は混同してしまう……そんなことがないでしょうか?

 詩は韻を踏みつつも美しい修飾表現、比喩を取り入れた言葉の芸術。

 俳句は五・七・五のわずか17文字で構成される世界で最も短い歌の世界。

 それでは和歌はというと、五と七の文字数を基本にしているところは俳句と同じなんですけど、文字数の組み合わせが異なるのが特徴です。

 いくつかのルールがあるんですが、一番有名なのは短歌と呼ばれる五・七・五・七・七ですね。

 他にも「季語」や「枕詞」などルールや技法の違いがあるので、一度調べて見ると面白いですよ。

 さて、実はこの時期、詩人・俳人・歌人でそれぞれ著名な方がお誕生日を迎えていますので、ここでご紹介したいと思います。

 まず2月19日は、詩人の峠三吉さんのお誕生日です(1917年生まれ)。1951年に発表された「原爆詩集」は、自ら体験した広島での原子爆弾投下後の世界を詩に込めて、戦争の悲劇を訴えました。

 続いて2月20日は、歌人・詩人の石川啄木さんのお誕生日です(1886年生まれ)。以前ご紹介させていただいた歌集「一握の砂」は、皆さんも学校で習ったことがあるのではないでしょうか?

 最後に2月22日は、俳人の高浜虚子さんのお誕生日です(1874年生まれ)。現在も続く俳句雑誌「ホトトギス」の創刊から参加、その理念となる「客観写生」「花鳥諷詠」を提唱しました。

 では続いて、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部顧問・癸生川新先生のこと・第5回です。

 週末の放課後、先生の引率でやって来た場所に建っていたのは、小さいマンションのような建物。

 エレベーターを上がった先には短い廊下があり、その両脇には整然とドアが並んでいたのですが、それぞれのドアにさまざまな会社の名前が入った大きなプレートが掲げられており、この場所がマンションではなく複数の会社が入居しているオフィスビルなのだということがわかりました。

 先頭に立った先生は廊下の突き当たりにあるドアまで進むと、インターホンを押しました。私たちが先生の陰になったドアプレートをのぞき込んでみると、そこに書かれていたのは……なんと「録音スタジオ」の文字だったのです。

 これを見て、普段から声優を目指していることを公言する部長さんは大興奮。呼び出し中なのに先生を質問攻めにしようとして、口を押さえられてしまうほどだったんですよ。

 私が「録音スタジオ」に行ったのはこれが初めてでしたが、こういうところは「きっと録音専用に作られた建物で行うものなんだろう」とイメージしていたので、普通のマンションのような場所だったのには驚きました。でも、よくよく考えたら学校の放送室も、建物の中の一角にあるんですよね。一緒にしちゃいけないのかもしれないですけど……。

 それにしても、なぜ先生はこの場所をご存じなのでしょうか?

 先生が部室から電話をされたときも、特に電話番号を探すようなこともなく、アドレス帳からかけているようでした。ということは、録音スタジオの方にお知り合いがいるということになりますが……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 アンデルセン「みにくいアヒルの子」

 こんにちは、今回ご紹介するお話は「アンデルセン童話」でおなじみ、デンマークの作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンさんの代表作「みにくいアヒルの子」です。

 以前にご紹介した「マッチ売りの少女」など、アンデルセン童話に多く見られる死生観が織り込まれたこのお話は、1843年に発表されました。

 ある夏の晴れた日のこと、自然、畑、牧草と、見渡す限りのどかな風景が広がる池の水辺に、1羽のお母さんアヒルが座っていました。

 彼女が温めていた卵からは次々と新しい生命が誕生したのですが、ひときわ大きな卵が一つだけ割れずに残っていたために、いいかげんじっとしていることに飽き飽きしながらも温め続けていたのです。

 生まれたアヒルの子たちが皆器量よしなのを見て、最後の卵もさぞ……と思っていたお母さんアヒルでしたが、生まれてきたのは体の大きな、他の誰にも似ていないひな鳥でした。

 きっと七面鳥の子供に違いない、泳げないからすぐにわかるとご近所の老アヒルは言いますが、当のひな鳥はというと、アヒルの子よりも泳ぎが上手なほどで、どうやら七面鳥ではないようです。

 けれど、ひな鳥は他のアヒルの子たちと違ってみにくい姿をしているために、周囲からいじめられるようになりました。いじめは収まることなく日増しにひどくなり、兄弟のアヒルにまでいじめられ、お母さんアヒルでさえも、こんなことなら生まれない方がよかったのにと考える有りさまでした。

 いじめに耐えられなくなったひな鳥は、とうとう巣を飛び出してしまうのですが……。

 大まかなあらすじはほとんどの方がご存じと思いますが、他の童話作品と同様に改変や抄訳になっている場合も多いので、原典を探してもう一度触れてみてはいかがでしょうか?

 きっと、あのころとは違う何かを、このお話の中に見つけられるはずですよ。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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