1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、月刊コミックゼノン(徳間書店)で連載。同居して8年のカップルのエピソードを男女の目線で描き分けた日暮キノコさんのマンガ「喰う寝るふたり住むふたり」です。
ウナギノボリ
解説:新たな“最高峰”を目指したガンプラ 45周年のこだわりとは
リツコには、交際10年、同居して8年になる恋人がいる。それを聞いた同僚は驚き、なぜ結婚しないのかと疑問を投げかけ、リツコの説明に合点のいかない「へえー」という声をあげる。リツコにとって聞き飽きたリアクションだ。ある日、リツコが自宅に招いた友人に「プロポーズをまだされてない」などとこぼしていると、のんちゃんが帰宅する。彼は機嫌が悪そうだが、リツコにはその理由が分からない。
「同棲ものを描きたいんです」
「喰う寝るふたり 住むふたり」は日暮先生のこの一言からスタートしました。
主人公はどこにでもいそうな普通の男女2人。そんな2人に起こるちょっとした日常を男女両方の目線から描いた物語です。となれば、読んでるうちにおのずと2人のうちどちらかに感情移入していきます。男性の私はもちろんのんちゃんです。1話目ではのんちゃんと同じタイミングで涙があふれ、2話目では「そーそーあるある」とつぶやいてました。
2人で積み重ねたなんでもない時間がすごくすてきなんです。
また日暮先生との打ち合わせでは「リツコだったらこう言いそうじゃないですか?」「そしたらのんちゃんはきっと……」と、実在する知り合いのカップルのうわさ話をしている感じで進んでいきます。キャラクターが設定とかではなく、一人の人間として確かに存在しているんです。
おそらく日暮先生にとって2人は子供であり、兄弟であり、友達のような存在なのではないでしょうか。
そんなわけで野々山修一(のんちゃん)と町田りつ子(リツコ)2人の行く末に注目してください~。個人的にはただただ2人の幸せを願ってます☆
誰かといさかいやすれ違いが起きた時、「相手の立場になって考えよ」とよく言われます。しかし実際に起きた出来事を両方の立場から同時に体感することは絶対にできないわけで、それを疑似体験させてくれるのがこのマンガの面白いところ。8年一緒に暮らすのんちゃんとリツコはお互いが自分自身の人生の主役だけれども、2人が一緒にいるからこそそれぞれが成り立っているように思えます。言わないと伝わらないこともあるけど、言わなくても伝わることもある。そんな2人の暮らしが心底うらやましいマンガです。
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