16、17日にシネ・リーブル池袋(東京都豊島区)で、映画「横道世之介」について作品愛を公言しているゲストたちが沖田修一監督とトークショーを行った。
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16日は放送作家の松崎まことさん、マンガ家の花くまゆうさくさん、ライターでリサーチャーの松谷創一郎さん、時事芸人のプチ鹿島さんというストリーミング番組「WOWOWぷらすと」にて結成されたゲストが出席。彼らは「サニー 永遠の仲間たち」を愛し、「桐島、部活やめるってよ」によって骨抜きにされた通称「おっサニー軍団」として登場した。
12年に公開された日韓の名作を口コミでリードした“軍団”が「横道世之介」についてトークショーを繰り広げ、松崎さんは「帽子、スイカ、クラッカーのシーンは映画の神様がほほえんだとしか思えないショットだ」と絶賛。花くまさんは「お母さん(余貴美子さん)と祥子(吉高由里子さん)に守られている世之介(高良健吾さん)がうらやましい」としっとにも似た感想を持ったとのこと。また、松谷さんは「2回見ると、世之介の人生がより見えてくる」と2度見を推奨した。鹿島さんは「ノスタルジーに作らず、現代に生きる作品にしたことがすごい」と驚いていた。予定時間をオーバーする熱いトークは沖田監督が「僕ももう一度見てみたい」と言わしめたほどだった。
17日は「ジョゼと虎と魚たち」(03年)や「のぼうの城」(12年)などの犬童一心監督との対談が行われた。犬童監督が同作を観賞して熱いコメントを寄せたことにより実現した。
日本映画監督協会新人賞選考のころから沖田監督を推していた犬童監督は同作の特に次の2点が優れているという。一つは、このシナリオの企画をプロデューサーや製作委員会のいわゆる製作側が成立させたこと。「例えば世之介が亡くなることや、祥子とどうして別れたのかなど、製作側が映画に入れたいといいそうな情緒的なシーンをすべて省いたシナリオになっている」と指摘する。「そこを省いても映画として成立するという製作側の監督への信頼感を感じる」とも付け加えた。それに対して沖田監督は「省いた部分を『想像』できる作品になると思って作った」と答えた。
二つめは「人生はバカバカしいことがたくさんあり、その中にまじめなことが入っていたり、まじめなことの中にもバカバカしさがあったりするもので、沖田監督はそれを外さずに描いているから作品がリアルに感じられる。それがよくて上映時間が長くても飽きさせない」のだという。その話が的を射たように沖田監督は「人間らしいバカバカしさも描きたかった」と語った
また、今作の吉高さんを絶賛する犬童監督は吉高さんが演じる祥子のタクシーの中のシーンの表情が素晴らしいと評価し、そのシーンの演出秘話を「吉高さんに内緒で世之介と祥子の格好をした助監督(男性)2人を視線に入るところで歩かせた」と沖田監督は明かした。犬童監督は「『未知との遭遇』での子役に対する演出(子役が喜ぶシーンでは内緒でその子の好きなものを目の前に出してそのリアクションを撮った)のようだ、スピルバーグ級の演出だ!」と感激しきりだった。
その後、個々のキャスト、スタッフの話や観客からの質問を受けてイベントは終了した。「横道世之介」は同劇場や新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開中。(毎日新聞デジタル)
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