劇団EXILEのメンバーで、映画「渾身 KON−SHIN」で主演を務めるなど注目を集める青柳翔さんが、携帯電話専用放送局「BeeTV」で配信中のドラマ「午前3時の無法地帯」で“キレキャラ”の営業社員、輪島を演じている。原作はねむようこさんの人気マンガで、主人公・七瀬ももこ役で人気モデルの本田翼さんが初主演している。青すじを立てて社員をしかり飛ばす輪島だが、青柳さんは「輪島は本当は弱い部分を持った人」と評する。役作りや撮影エピソード、見どころなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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ドラマは08年からねむさんが女性向けマンガ誌「FEEL YOUNG」(祥伝社)で連載していた同名マンガが原作。映画「リンダ・リンダ・リンダ」(05年)や「天然コケッコー」(07年)などで知られる山下敦弘監督、「たまの映画」などの今泉力哉監督が演出を担当した。イラストレーターを夢見ながらデザイン会社に就職したももこが、理想とはほど遠い職場で日々パチンコ店のPOP作りの仕事に追われ、恋人とはすれ違いになりながらも恋に仕事に奮闘するというストーリー。ももこの相手役の“大人の男”多賀谷役をオダギリジョーさんが演じ、木南晴夏さんらも出演している。
日ごろから山下監督の作品は好きでチェックしていたという青柳さんにオファーを受けたとき、「『やったー!』という気持ち」だったと笑顔を見せた。そして「周りの人からもすてきな監督と聞いていたのでうれしかったですね」と付け加えた。
台本と原作を読んで「ももこの成長ストーリーだからこそ(輪島など)周りの人たちがももこにうまく影響を与えていくように演じよう」と思ったという青柳さんだが、山下監督から「ももこに影響を与えるだけではなく一人一人のキャラも立たせていきたい」と聞き、初日から「楽しい現場になりそう」とますます期待が高まったという。
輪島は会社の唯一の営業担当として常に社員を叱咤(しった)し、そんな輪島に怒られてやめてしまう新入社員もいるほどという役柄。そんな“キレキャラ”を演じるにあたっては、原作の続編「午前3時の危険地帯」やスピンオフ作品集「午前3時の不協和音」も読んで輪島のキャラクターへの理解を深めたという。青柳さんは「輪島がももこや同僚に対して怒っている原因も、営業の外回りで何度も頭を下げて仕事を取ってきたり、接待で飲みたくもない酒に付き合ったりするということが背景にあるからで、仕事にまじめだからこそだと思う」といい「輪島は自分の弱い部分を隠すために虚勢を張っているという印象も受けた。そんな輪島の弱い部分であったり、誰かをしかったあとも実は気にしているような人で、台本にはなかったんですが、本当は優しい部分があることを意識して演じました」と明かす。具体的には、ももこをしかったあとに、ももこを気遣う表情や、怒っている輪島を残してほかの社員が帰ってしまったときに見せる表情などに、青柳さんがとらえた輪島の人物像が反映されている。
ドラマでは“一匹おおかみ”の輪島だが、撮影現場は和気あいあいとした雰囲気だったという。青柳さんは休憩時間のたびに、ももこの先輩・田辺を演じる宇野祥平さんのところに行って話していたといい、「(セットにある)物を使って遊んでました。指人形で遊んでいたんですが、それがドラマの中のシーンでも使われていて。(撮影現場で)くだらないことを必死で探していました」といたずらっぽい表情を見せる。「くだらないことに必死になる」感じは青柳さんが所属する劇団EXILEも同様という。青柳さんは「劇団EXILEはメンバーが見せる仕事に対するストイックさが刺激になるし、お互いが活躍しているのを見て『くやしい、俺もやりたい!』みたいな感じですね」と団員で刺激を受け合っているようだ。
最後にドラマについて「一生懸命頑張っている人たちに見てほしいし、仕事が忙しいあまり何かをないがしろにしてしまっている人にも見てもらってほっこりしてほしい」とアピールし、「(続編があったら)ぜひやりたい!そうすれば輪島が救われるかも……。一気に輪島へのイメージが反転するからぜひやっていただきたいですね」と目を輝かせた。
ドラマは「BeeTV」とドコモのスマートフォン向け動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」で配信中。1話約12分で毎週月、水曜に更新。全12話。
<プロフィル>
1985年4月12日生まれ。北海道出身。劇団EXILEのメンバー。09年、舞台「あたっくNo.1」で俳優デビューを果たし、映画「ふたたび swing me again」(10年)で映画初出演を果たす。連続ドラマ「ろくでなしBLUES」(11年)で主演を務め、その後も連続ドラマ「私が恋愛できない理由」(11年)、「結婚しない」(12年)、「あぽやん~走る国際空港」(13年)など話題作に出演。13年1月に公開された主演映画「渾身 KON-SHIN」はモントリオール世界映画祭で正式招待作品として上映された。