注目映画紹介:「中学生円山」 謎のシングルファーザーと思春期の少年が繰り広げる青春アクション

「中学生円山」の一場面 (C)2013「中学生円山」製作委員会
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「中学生円山」の一場面 (C)2013「中学生円山」製作委員会

 NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」が好調の人気脚本家、クドカンこと宮藤官九郎さんの監督作「中学生円山」が18日に公開された。「少年メリケンサック」以来、4年ぶり3作目の監督作で、宮藤監督は脚本も書き下ろしている。団地を舞台に、妄想癖のある中学2年生の男子と謎のシングルファーザーが出会い、妄想と現実を行き来しつつ成長していく青春アクション作だ。エッチな妄想シーンをコンピューターグラフィックス(CG)やアクションを駆使して描き出している。主演は人気グループ「SMAP」の草なぎ剛さん。宮藤監督と初タッグを組むことでも話題を集めている。

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 団地と学校を往復することが日々の平凡な家庭に育った中学2年生の円山克也(平岡拓真さん)は、思春期の真っただ中。克也は、あるエッチな目的のために体を軟らかくする“自主トレ”に励んでいると、限界まで背骨を折り曲げて妄想の世界へトリップするようになってしまう。そんなある日、上の階にシングルファーザーの下井辰夫(草なぎ剛さん)が引っ越してくる。謎めいた雰囲気の下井は、団地の主婦たちの間にうまく溶け込むようになる。克也が下井と出会ってまもなく、団地の近所で殺人事件が発生。克也は、下井が殺し屋でこの事件の犯人という妄想に取りつかれてしまい……という展開。

 独特の世界観を持つクドカン作品に草なぎさんが初めて挑戦した。それだけでも期待が高まるが、狂気と優しさが共存するミステリアスな男を魅力十分に演じ、さらには余韻を残したかのような演技で見る側の想像力を刺激してくる。エッチな妄想で頭がいっぱいの中学生をおしり丸出しまでして熱演した平岡さんには思わず脱帽し、歌手の遠藤賢司さんが演じる徘徊(はいかい)老人がギターをかきならし絶唱するシーンは痛快だ。カッコよくない父親役の仲村トオルさんにはクスッとさせられ、母親を演じた坂井真紀さんの色気にはドキッさせられるなど、共演陣の存在感も際立っている。今作のキーワードの一つが「妄想」なのだが、中学生くらいのころは誰しも一度は妄想にふけったことがあるはず。甘酸っぱくてバカバカしいけれど、どこか懐かしくもあり少し切ない、クドカン節がさく裂した青春物語だ。18日から新宿バルト9ほか全国で公開中。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

<プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップなどのソフトはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行きなんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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