テレビ質問状:ノンフィクションW「国境なきオーケストラ スカパラ」米国3大フェスの一つに挑む姿

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 WOWOWは、毎週金曜午後10時に「ノンフィクションW」枠を設け、オリジナルのドキュメンタリー番組を放送中だ。この枠では、見る人を新しい世界へと誘うフルハイビジョンの“ノンフィクションエンターテインメント”番組をWOWOWプライムで毎週、テーマを変えて放送している。6月14日に放送される「国境なきオーケストラ スカパラ 世界屈指USAロックフェスへの挑戦」を担当したWOWOWの編成制作局音楽部の前田裕介プロデューサーに番組の魅力を聞いた。

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 −−番組の概要と魅力とは?

 デビュー24年の「東京スカパラダイスオーケストラ(スカパラ)」が米国3大フェスの一つ「コーチェラ」に挑む姿に密着したドキュメンタリー番組です。コーチェラはポール・マッカートニーやレッドホットチリペッパーズもメインステージに立ったことがある、世界最大規模のフェスの一つですが、このメインステージに日本人のアーティストのスカパラが抜てきされました。が、実はこの米国は、彼らにとって9年前に大きな壁となって立ちはだかった「鬼門」のような場所。番組では彼らがどうやってこの「壁」に向き合い、挑んでいくかを描き出しています。

 −−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 昨年、WOWOWで彼らのライブをオンエアさせていただいたのですが、今年3月にコーチェラ出演決定の話をうかがいました。そのタイミングで彼らが一昨年行ったメキシコでのライブ映像を見せてもらったのですが、海外のオーディエンスを巻き込んで盛り上がるスカパラのエネルギーのすさまじさを目の当たりにしました。こんなことをプロデューサーの立場で言うのも微妙なのですが、いわばその「映像」から伝わってくる熱量にあてられ、米国公演の成功を確信し、そのまま番組企画として立ち上げてしまったようなところもあるかもしれません。

 −−制作中、一番に心掛けたことは?

 彼らが「壁」に向かって試行錯誤していく瞬間を丁寧に切り取りたいと思いました。平均年齢46歳だけあって、葛藤や焦りといった弱い部分をなかなか見せてくれない「大人」なメンバーたち。油断をしているとハッピーな海外ツアーのロードムービーになってしまうところを、音楽に真剣に向き合う彼らのアーティスティックでストイックな姿を丁寧につむぎ出すよう意識して制作しました。

 −−番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 とにかく強行スケジュールなのが大変でした。2週にわたって行われるコーチェラ公演日以外は連日深夜まで行われるレコーディング、それ以外は飛行機、バスでの移動時間しかないような状態でした。せっかくの海外ツアーなのに、ひたすら音楽活動に挑む彼らの姿にはただただ敬服するのみです。

 うれしかったことは、フランク・シナトラが「マイウェイ」をレコーディングしたという伝説的なスタジオ「East West Studio」に入ることができたこと(彼らはそこでレコーディング活動を行いました)。そして、日本を代表して世界の大舞台に挑んでいくスカパラの姿を、まさに目の前で見ることができたのはとても貴重な体験でした。

 −−番組の見どころを教えてください。

 スカパラのメンバーたちが、クラッシュ、ラモーンズなどの作品も手がけた世界的エンジニア、ジョー・ブレイニーと出会うことで、大きくステップアップするシーンがあります。一つの出会いによって、さらに素晴らしい音楽が作られる。そんな一期一会が「音」に与える影響。そしてそこで作られた「音」がさらに米国のオーディエンス、ゲストで参加した細美武士さんといった人々とエネルギーを与え合う瞬間を見ると、音楽の本質的な素晴らしさ、パワーを感じることができると思います。ぜひその瞬間を見てください。

 −−視聴者へ一言お願いします。

 「音楽で世界はつながる」とか簡単には思いませんが、彼らを見ていると「この人たちは本当につなげちゃうかも……」と期待してしまいます。だまされたと思ってチャンネルを合わせてみてください。

 WOWOW 編成制作局音楽部 プロデューサー 前田裕介

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