はじめの1巻:「ハクメイとミコチ」 こびとたちの不思議な世界描く 樫木祐人のデビュー作

マンガ
樫木祐人さんのマンガ「ハクメイとミコチ」(エンターブレイン)の1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、マンガ誌「ハルタ」(エンターブレイン)で連載、身長わずか9センチの女の子、ハクメイとミコチが暮らす不思議な世界を描いた樫木祐人さんのデビューマンガ「ハクメイとミコチ」です。

 ハクメイとミコチは森の奥にある木の洞(ほら)に住んでいる。ハクメイの頼みでミコチが食事を作っていると、「号外バッタ」が伝説上の生物「夕焼けトンビ」目撃のニュースを届けにやってきた。ハクメイは「今から捕まえにいく」と大張り切り。2人は昆虫の背中に乗ってミコチが作ったミネストローネを食べながら山頂を目指す。

 ◇編集部からのメッセージ ハルタ編集部 森岡夏世さん 「話をスルメのように味わって」

 編集部に届くアンケートハガキに、いろいろな質問が書かれています。たとえば「ハクメイの作業着の仕組みは?」だとか「ミコチの仕事相手のアナグマさんってどんな人?」だとか、「木の洞に造られたふたりの家の間取りは?」だとか。

 読めば読むほど、この世界のことを知りたくなる。あるいは、描かれていないからこそ、その時間や場所、味や色を想像する。そういった読書の後の余韻もまた楽しい。「ハクメイとミコチ」はそんなふうに、なんというか、ずっと“噛(か)み続けられるスルメマンガ”です。

 作者の樫木さんには、私も打ち合わせの時によく質問をします。で、樫木さんの答えが毎度早い早い。「作業着の仕組みはこうです(絵で描く)」、「アナグマさんは狢(ムジナ)で、だから店名は“夢品”商店で、風貌はこうです(絵で描く)」、「間取りはこうで(絵で描きながら)ここは通れないから迂回(うかい)してここに出られます」といった具合。いつ何を聞いても即答アンド即描き。負けた。なんだかよく分からない敗北感。頭の中にハクメイとミコチの世界がまるごと広がってるんですね! そう言ったら、真顔で「こいつらは実在してますよ」と返されました。負けた。完敗。

 小さな女の子たちが暮らす広大な世界の物語は1話完結形式でゆっくりと進んでいきます。まずは1巻に収録されている8本のお話をスルメのように味わってみてください。ギニュギニュと。

 最後にひとつオマケを。「キャラクターの名前はどういう意味なの?」という質問にお答えします。作中ではカタカナで書かれているそれぞれの名前、正式には漢字表記があります。

 ハクメイは「薄明」、空の名前から。ミコチは「美東風」、風の名前から。コンジュは「胡飲酒」、古い舞の名前から。センは「泉」、水の名前から(……と樫木さんが即答)。

 さてそれじゃあ、なぜ空なのか、なぜ風なのか。それは彼女らの生まれ故郷に関係があります。里帰りのお話が描かれる時を、お楽しみに。

 ◇書店員の推薦文 南海ブックス 岡本美紀さん 「2人の日常は冒険づくし」

 「夕焼けトンビ」が出たと聞いたら「今からそいつを捕まえに行く」と言う元気いっぱい行動派のハクメイと、料理上手で市場のみんなの人気者ミコチの日常はとっても忙しそう。

 料理上手なミコチは歌も上手。それを目当てに新聞や行商が訪れるほどで、吟遊詩人のコンジユと収穫祭の日に舞台で歌うことに。ハクメイの仕事は修理屋。イタチの鰯谷親方と風車の定規点検をするけれど、足元を滑らせてちょっと失敗。

 自然や科学や不思議が詰め込まれた日常は冒険づくし。次に何が起こるのか、もっと知りたくなるお話です。

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