注目映画紹介:「江ノ島プリズム」福士蒼汰、本田翼らで三角関係とタイムトラベルがからむ青春映画

「江ノ島プリズム」の一場面 (C)2013 江ノ島プリズム製作委員会
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「江ノ島プリズム」の一場面 (C)2013 江ノ島プリズム製作委員会

 NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」に出演中の福士蒼汰さんと「梅ちゃん先生」に出演していた野村周平さんという朝ドラに縁のある2人に加え、ともにモデル出身の女優・本田翼さんと未来穂香さんというフレッシュな顔ぶれで、幼なじみの三角関係に、タイムトラベルを加えて描き出す爽やかな映画「江ノ島プリズム」(吉田康弘監督)が10日に公開される。

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 修太(福士さん)と朔(野村さん)とミチル(本田さん)は小学生からの大親友。高校2年生の冬、恋と友情の入り交じった関係のまま英国留学が決まったミチルだったが、そのことを2人に伝えることができないでいた。出発当日、ミチルから手紙を受け取った朔は、旅立つミチルを追っていく最中に帰らぬ人となってしまう。修太は友人の死に負い目を感じたまま、三回忌に出席する。朔の部屋で「君もタイムトラベラー」という本を見つけ、江ノ電に乗って実践する修太。すると目の前に、あの日の朔が現れる……という展開。

 爽やかで、泣けた。吉田監督は「旅立ちの島唄~十五の春~」(2013年)では思春期の女の子を等身大で描き出した。今作はコバルト文庫をけん引した作家・小林弘利の原案と共同脚本で、ジュブナイル風の前作とはまた趣が異なる作品に仕上げた。海の近くの学校で、女子1人、男子2人の幼なじみ、タイムトラベル、学校の幽霊……。定番の要素がいっぱいだが見ていて飽きない。江ノ電で時間旅行をするシーンが何度も繰り返されてドキドキする。光あふれる昼間と夜の闇の中の学校を描写し、「時間」をいつの間にか意識させられる。まぶしい教室のシーンもいいが、男子2人が自転車を走らせて夜の町で買い物するシーンの描写が、さりげなくて秀逸だ。彼らが一緒に過ごす時間は限られている。かけがえのない思い出を手放すことができるのか。せつないラストが待っている……。10日からシネマート新宿(東京都新宿区)、109シネマズMM横浜(横浜市西区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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