SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は「覇剣の皇姫アルティーナ」(むらさきゆきやさん作、himesuzさんイラスト)です。ファミ通文庫(エンターブレイン)の和田寛正さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
軍人なのに剣も弓も苦手で本ばかり読んでいるレジスと、大剣を振るう14歳の皇姫アルティーナの2人が辺境で出会い、無駄な戦争を繰り返して疲弊していく帝国を立て直そうと奮闘するクラシックな戦記ファンタジーです。
ファンタジーとはいっても、魔法もドラゴンも登場しません。一発逆転の必殺技なしで、強大な敵に対して知略や交渉術で立ち向かうレジスは、力と技で戦うバトル系主人公とは違ったカッコよさがあります! 彼と一体となって戦況を予想しながら読んでいただきたいですね。
−−作品が生まれたきっかけは?
著者のむらさきゆきや先生から何本か企画書をいただきまして、その中にあった「英雄姫」という作品が「覇剣の皇姫アルティーナ」の原形です。当初は舞台に特定の時代や地域を設定していなかったのですが、よりリアリティーを出すために中世ヨーロッパ、主な舞台となるベルガリア帝国はフランスをモチーフに変更しました。
また、当初は皇女付きメイドのクラリスというキャラは存在しておらず、軍師の才能がある女の子がレジスの副官として登場する予定でした。今ではメインヒロインのアルティーナと同じくらいに読者人気の高いキャラなので、変更してよかったと思っています。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?
むらさきゆきや先生は非常に真面目な方ですね。多数のレーベルでお仕事をされているにもかかわらず、毎回きちんと資料などで勉強した上でクオリティーの高い原稿をいただけています。予定刊行日を遅らせたこともありませんし、いつ寝ているのだろうかと不思議に思うことがあります。
himesuz先生とは以前にも別シリーズでお仕事をさせていただいていたのですが、彼の絵の繊細さや清潔感がアルティーナ、レジスのイメージにぴったりだったので、今作で再び声をかけさせていただきました。巻末設定資料の小さなカットまで手を抜かないストイックな方です。
また、お二人ともサービス精神旺盛ですね。新刊の発売日には3人で書店様にごあいさつに伺っているのですが、かなりの冊数の依頼があっても一冊一冊丁寧にサインしていますし、直筆イラスト入りの色紙を作成して配ったりと本が完成してからも作品のためにできることはなんでもやる、という姿勢は編集部にとって非常にありがたいです。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
むらさき先生、himesuz先生と打ち合わせをしているときが興奮しますね。作品をよりよくするためにそれぞれ意見を出し合うのですが、戦記物というジャンルの性質上、大きな歴史の流れに介入できているような快感があります。
大変でもあり面白いところでもあるのですが、ファンタジー世界に浸っていただくためにはどこにどのくらい世界観説明やワードを組み込むか、モチーフである中世ヨーロッパの文化をどの程度参考にするか、特殊ルビをどの単語に振るか、ルビを英字にするかカタカナにするかといった細かい点まで気を使って話し合っています。こういった苦労は読者さんに気づかれなければ気づかれないほどよいとは思いますが……。
−−今後の展開は?
3巻がかなり衝撃的な終わり方をしたことで、多くの反響をいただいておりますが、4巻では3巻の結末につながるハイブリタニアでの出来事や、アルティーナの兄である第三皇子バスティアンのエピソードが収録される予定です。
この作品は世界中で情勢が常に変動しているのですが、小説ではそのすべてを見せることは難しいので、なにかしらメディアミックス企画などで掘り下げることができればいいな、と個人的には思っています。
−−最後に読者へ一言お願いします。
新刊発売ごとに既刊に重版がかかり、着実に部数を伸ばすことができています。これもひとえに読者の皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。これからも一人でも多くの読者さんに「覇剣の皇姫アルティーナ」の世界をお届けしていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
エンターブレイン ファミ通文庫編集部 和田寛正
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