瀧本美織:苦手なホラーで映画初主演「貞子3D2」

スタイリスト:寄森久美子(SMOOCH)、ヘアメイク:佐鳥麻子
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スタイリスト:寄森久美子(SMOOCH)、ヘアメイク:佐鳥麻子

 大ヒット中の劇場版アニメ「風立ちぬ」で凛とした透明感のあるヒロインの声を担当した女優の瀧本美織さんが一転、恐怖に声を震わす主人公を演じたホラー映画「貞子3D2」が30日に公開された。同映画は人気ホラー「リング」シリーズの最新作で、瀧本さんにとっては記念すべき初主演映画。しかし、「ホラーが苦手で、最初は『無理です、できません』って言っちゃいました」と語る瀧本さんに、撮影のエピソードや見どころ、そして大作に続けて出演し注目が集まる現在の心境を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 映画は、前作「貞子3D」から5年後の世界が描かれる。鮎川茜(石原さとみさん)と安藤孝則(瀬戸康史さん)の間に一人娘・凪(平澤宏々路ちゃん)が生まれるが、出産後に茜は死亡し、孝則の妹の楓子(瀧本さん)が凪を育てていた。そのころ、謎の動画を見た者による自殺騒動が再び世間をにぎわせる……という展開。

 ◇待望の初主演映画「恐怖で見られない」

 瀧本さんは大の怖がりだという。今回の台本も表紙が黒いというだけで持つことができず、なかなか読み進められなかったのだとか。同シリーズについては、「たぶん『リング』だったと思うんですけど、小さいころに見たことがある」と語りつつ、「貞子がテレビから出てくるシーンは有名ですし、覚えているんですが、ずっと顔を覆っていたので見ていないに等しいんですよ」と苦笑する。

 出来上がった作品についても「自分が出ているにもかかわらず、怖い気持ちが先立って見られる気がしなかった」と告白。「内容は分かっているんですけど、だからこそ展開が読めるので、『次、来る!』って余計に怖かった」といい、「3Dメガネをはずして耳をふさいでましたね」と直視できなかったようだ。

 しかし、同シリーズが人気の理由をたずねると「貞子の強烈なキャラクターだと思う」と分析。前作に続き3Dで描かれる今作を「迫力満点。映像に奥行きがあるし、人がもう目の前にいる感じ。アトラクション感覚ですごいなあと思いました」と魅力を語る。

 最新作の“呪い”の感染源は、パソコンやスマートフォンの画面だ。専用アプリをダウンロードすることで観賞しながら映画とのシンクロ動画や本編にはない恐怖の仕掛けも楽しめるという新しい試みが用意されており、「もともとはブラウン管の中から貞子が出てくる描写だったのが、今度はパソコンやスマホに移行してびっくりしています。時代とともに世界観も変化していて、その新しい恐怖の形も面白いのでは」と進化を語る。

 ◇“酸欠&筋肉痛”水中シーンに苦戦

 パワーアップした同作で、たびたび登場するのが水のシーンだ。クライマックスでは大量の“赤い水”が部屋中にあふれ出す。その水量は実に25トン。「キャスト、スタッフともに水びたしで撮影して、私は毎日シャワーを浴びてから帰っていました。(凪を演じる子役の)宏々路ちゃんは普段はしっかりしているんですが、首までつかるほどの水に涙を流していて。本当に怖かったみたいです」と振り返る。

 また、水中シーンではグリーンバックでのワイヤアクションにも挑戦。「一日中つられて酸欠状態みたいになったり、水中にいるように体をくねらせたり、足を動かしたりするので筋肉痛になりました。それからお風呂に引きずりこまれるシーンもあったんですが、監督が面白がってなかなかカットをかけてくれなくて、お風呂に顔を突っ込んだままずっと逆さまの状態だったこともありました」と笑いながら、苦労を明かす。

 一方、撮影の舞台裏はいたって和やかだったようで、「ずっと一緒だった宏々路ちゃんとは、ロケ現場の保育園の遊具で遊んだりしていました。お兄ちゃん役の瀬戸さんもやさしくて、いろいろお話しましたね」と笑顔。「瀬戸さん、実は霊感があるみたいなんですよ。でも、『ここ大丈夫ですか?』って聞いたら、『大丈夫』っていってました」と話し、ホラー作品お決まりの“霊現象”に悩まされることもなかったという。

 ◇注目集めるも「女優の実感ない」

 瀧本さんは、2010年にNHK連続テレビ小説「てっぱん」で主役に抜てきされ、その後も、話題のテレビドラマに数々出演。7月公開のスタジオジブリ最新作「風立ちぬ」ではヒロインの座を射止めた。そして映画初主演となる本作も、これまで松嶋菜々子さんや中谷美紀さん、仲間由紀恵さん、前作の石原さんといった人気女優が歴代ヒロインを演じてきたヒットシリーズだ。

 「風立ちぬ」の公開から約1カ月という短いスパンで立て続けに大きな作品に出演し、自身に注目が集まる現状について、瀧本さんは「うれしいですね。『風立ちぬ』では『とてもすてきなヒロインだった』という声もたくさんいただいているので、よかったなって思っています」と満面の笑みで語る。その半面、「たくさんお仕事をさせていただいているんですが、まだ自分が女優だという実感がないので、不思議な感じ。正直、世間の方がどう思っているのかって分からないんですよね」と本音も明かす。

 しかし、「ちゃんと信念は持ってお仕事させていただいています」と真剣な表情で語り、「声優のお仕事もまたお話があればぜひやってみたいし、体を動かすのも好きなのでアクションももっと演じてみたい」と今後に意欲的。「雑誌の連載で文章を書いたりもしているのですが、女優の仕事だけではなく、いろいろなことにチャレンジしていきたいです」と、さらなる高みを目指している。

 活躍めざましい瀧本さんが初主演した映画「貞子3D2」は全国で公開中。

 <プロフィル>

 たきもと・みおり 1991年生まれ、鳥取県出身。2010年に映画「彼岸島」で女優デビュー。同年のNHK連続テレビ小説「てっぱん」で主役を演じ、以降、「美男ですね」(TBS系)、「ハングリー」(フジテレビ系)、「GTO」(同)と話題のドラマに出演。12年には「パーフェクト・ブルー」(TBS系)で民放ドラマで単独初主演を務める。現在、映画「貞子3D2」のほか、ヒロインの声を演じた劇場版アニメ「風立ちぬ」も公開中。

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