注目映画紹介:「劇場版 空の境界 未来福音」 人気シリーズ3年ぶり新作は外伝的ストーリー

「劇場版 空の境界 未来福音」のイメージカット (C)奈須きのこ/星海社・アニプレックス・講談社・ノーツ・ufotable
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「劇場版 空の境界 未来福音」のイメージカット (C)奈須きのこ/星海社・アニプレックス・講談社・ノーツ・ufotable

 奈須きのこさん原作の人気シリーズ「空の境界」の3年ぶりとなる新作劇場版アニメ「劇場版 空の境界 未来福音」(須藤友徳監督)が、28日に封切られた。「空の境界」は、奈須さんが同人サークル「竹箒」で発表した後、講談社ノベルスから出版された長編伝奇小説。今年7月には07~09年に公開された劇場版アニメ7部作から第1章を3D化し公開された。今作は、08年に奈須さんとTYPE−MOONの武内崇さんが「竹箒」名義で発売した同人誌の小説が原作で、シリーズを補完するサイドストーリーで構成されている。同誌に収録された武内さんによるマンガ「1998年」をアニメ化した「空の境界 未来福音 extra chorus」(あおきえい監督)が同時上映。

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 1998年8月、爆弾魔の倉密メルカを追ってきた両儀式(声・坂本真綾さん)は、未来を予見する能力を持つメルカの策略により爆発に巻き込まれる。同じ夏、礼園女学院の生徒の瀬尾静音(声・井口裕香さん)は黒桐幹也(声・鈴村健一さん)と出会う。自分の話を信用してくれた幹也に恋心を抱いた静音は、長年さいなまれてきた悩みを打ち明ける。数年後、瓶倉光溜(声・石田彰さん)はある人物の依頼で、依頼主の娘とともに“未来が見える”という占師を訪ね……というストーリー。

 謎めいた世界観や“難解さ”など独特の味わいを持つ本編と比べると、外伝的な位置づけとなる「未来福音」はライトな印象と爽やかさという対極のイメージを感じさせる。それでいて「空の境界」ならではの空気感が損なわれていないのは見事だ。劇中には未来を見ることができる人物が複数登場し、それぞれ能力の使い方が違うのだが、出会いによって生き方が変化するなど余韻を残すストーリー展開が味わい深い。一つの作品として事前情報なしでも楽しめるが、シリーズファンであればいろんな意味で掘り下げられ、世界観を補完してくれる内容だ。ある登場人物たちの意外な関係性といった“らしい”仕掛けにも驚かされる。28日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行きなんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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