テレビ番組「のどじまん ザ!ワールド」への出演をきっかけに、今年CDデビューを果たし、“奇跡の歌声”と評判のクリス・ハートさんが、所属レーベル“ユニバーサルシグマ”の設立10周年記念企画として、“永遠の歌姫”=松田聖子さんとデュエット! 松田聖子&クリス・ハートとしてシングル「夢がさめて」を10月30日にリリースした。子供のころから大ファンの聖子さんとのデュエットについて、楽曲の魅力についてハートさんに話を聞いた。(榑林史章/毎日新聞デジタル)
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−−もともと、松田聖子さんのファンだったそうですね。
僕が聖子さんの歌を初めて聴いたのは、12歳のときです。米国で日本人向けのチャンネルを見ていたとき「赤いスイートピー」が流れてきて、一発で魅了されました。歌声はもちろんですが、日本語の語感、歌詞のメッセージを最大限に引き立たせるサウンド……。リズム重視の米国の音楽とは決定的に違うと感じました。
−−その聖子さんとデュエットするという話を最初に聞いたときは、どう感じましたか?
信じられなくて、「ギャグでしょ?」って(笑い)。でも、スタッフさんが僕のことを信じて与えてくれたチャンスだから、期待に応えたいと思いました。すごくいい経験になると思ったので、胸を借りる気持ちで頑張ろうと思いました。
−−そうして制作された「夢がさめて」は、王道のデュエットバラードと呼べる曲になりましたね。
現代的なJ−POPの要素もあり、同時にクラシック的な部分も持っているので、タイムレスに聴いていただける曲になったと思います。特に若いリスナーの方は、こういう曲に触れた機会があまりないと思うので、ぜひ聴いてほしいですね。
−−レコーディングはどんな様子でしたか?
聖子さんとは、レコーディングのスタジオで初めてお会いしたのですが、本当に緊張して最初は何も話せませんでした。きっとそうなるだろうと想像できたし、聖子さんに対するリスペクトの気持ちもちゃんと表したいと思っていたので、何を話すか考えて心の準備もしていたんですよ。でも、実際にお会いした瞬間に頭が真っ白になってしまって。
−−緊張で声が上ずっちゃったりしなかったのですか?
それが不思議なくらい、歌っているときはすごくリラックスして安心できたんです。聖子さんから、「クリスらしく歌えばいい」と優しく言っていただけたのもあったし、歌っているときにも目を合わせて優しくリードしてくださったので、僕はただ導かれるままに歌えばいいという感じでした。お陰で、こう歌おうとか変に考えこむこともなく、歌詞のメッセージに素直に入り込めました。
−−歌詞はすごく前向きで、勇気を与えてくれるものになりましたね。
ちょっと聴くと別れの曲に感じるかもしれませんが、決して悲しい曲ではありません。夢からさめたからといって、それで人生が終わるわけではないし、チャンスはまだまだある。今という時間を精いっぱい頑張ることで、それまでの幸せな時間をむだにしないようにしたいという気持ちで歌いました。また、もう1曲の「もう一度抱きしめたい」は、歌詞のシチュエーションや楽曲の時代背景が少し違いますが、「夢がさめて」と同じテーマを歌っています。そのときの自分に合った方をチョイスして、聴くだけじゃなく、ぜひたくさんの人に歌ってほしいです。CDには、それぞれの声だけのカラオケバージョンも入っているので、僕の代わりに聖子さんとデュエットすることもできますよ! 僕が味わった感動をみなさんにも感じてほしいです!
−−クリスさんご自身としては、今後はどういう活動をしていきたいと考えていますか。
デビュー曲「home」は木山裕策さんのカバー曲でしたが、今後はオリジナルとかカバーとかにこだわらず、リスナーの力になれる曲なら、どんどん歌っていきたいと思っています。僕自身デビューするまでにいろんな方の力を借りましたし、僕の歌を聴いて「勇気をもらった」など、うれしいメッセージもたくさんいただきます。そんなファンの声が僕にとっての宝物なので、応援してくれるみなさんのためにも、1曲でも多く、いい音楽を作っていいアーティストになる、それが僕の目標です!
−−最後に、クリスさんにとってのJ−POPの魅力とは?
J−POPの素晴らしさは、聴いたときの年齢や経験で受け取るメッセージが変わるところだと思います。たとえばKiroroさんの「未来」は、僕が生まれて初めて聴いたJ−POPなのですが、日本でデビューしてから改めて聴いたとき、母親のことを思い出したりして違った感情が湧いてきて、やっとその曲の本当のメッセージを理解できたと思いました。僕自身この16年間、J−POPによって成長させてもらったと思っています。今度は僕がJ−POPを歌って、聴いてくれるファンのみなさんと一緒に成長していきたいです!
<プロフィル>
米サンフランシスコ、ベイエリア出身、1984年8月25日生まれ。音楽一家に生まれ、幼少期からクラシックの教育を受けて育つ。12歳のとき学校の授業で日本語に触れたことをきっかけに日本文化を学び、2009年に日本に移住。12年にテレビ番組「のどじまん ザ!ワールド」に出演したことがきっかけで、13年5月にシングル「home」でデビュー。影響を受けたJ−POPをカバーしたアルバム「Heart Song」は、オリコンTOP 3にランクインし、ロングヒットを記録している。
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