2009年に96歳で死去した俳優の森繁久彌さんの生誕100周年を祝う会が20日、東京都内で行われた。発起人の1人である黒柳徹子さんは「『徹子の部屋』の第1回目のゲストが森繁さん。どんなふうに番組をやっていくか考えもなく始めたんですが、道をつけてくださった。(ゲストに)自由に話したいことを話してもらって、楽しければいいんだよっていうことを教えてくれたのが森繁さんでした」と感謝を口にし、「それから、終生『1回どう?』って私におっしゃってくださった。それから亡くなるちょっと前までお会いするたびに」と笑いながら、ちゃめっ気のある一面を懐かしんでいた。
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黒柳さんは、森繁さんが死去する3年前に最後に道端で会ったといい、「道に大きな黒い車があって、中をのぞいたら森繁さんだった。声をかけたら、おじいさんとは思えない力で私をぐいっと車の中に引きずりこんで、『ねえ、1回どう?』って。私、60年前に初めてお会いした時から、最後まで言われ続けた」と一笑。「その時に『今度ね』って言ったら、『君は今度今度って言って、いつまでもダメじゃないか』って。(長く待たせて)『くしゃくしゃになったら僕、嫌よ』って。『私だって嫌ですよ』って言って別れたのが最後だった」と会場を笑わせた。
祝う会には、黒柳さんのほか、大村崑さん、中村メイコさん、司葉子さん、里見浩太朗さん、北大路欣也さん、加藤登紀子さん、関口宏さん、中村玉緒さん、樹木希林さん、西郷輝彦さんら26人が発起人となり、森繁さんが愛したという東京・二重橋の東京會舘で開催された。会場には関係者約500人が集まり、発起人らによる鏡開きや、加藤さんを中心とした「知床旅情」の合唱、森繁さんのスライドショー放映など、生誕100年を盛大に祝った。司会は、関口さんと中村メイコさんが務めた。
里見さんは「本当にいろいろな顔を持った人。ある時は厳しく、ある時は優しく、ある時はHで。とにかく楽しんで、96年の人生を送られた人」といい、樹木さんは「すごく色気のある人。そのわりには女性ともめている姿を見たことがない。見事だった」と笑いを交えながら、魅力あふれる人柄を語った。
また、大村さんは「おやじさん(森繁さん)とよく会ったのは青山斎場。晩年は大物芸能人が亡くなると、体を支えられながら弔辞に出てきて、遺影を見て『ワシより若いのになぜ死んだ? ああまた芸能の星が落ちた!』というのがお決まりだった」とものまねし、「その後、いつもおやじさんを先回りして駐車場で待っていると、私の顔見て『あなた、どなた?』って言うんですよ。『崑ちゃんですよ』って返すと、『あ……崑ちゃんか。あんた、死んだと聞いた』というのが毎回のネタだった。葬儀所で笑わす喜劇人は森繁さんだけ」とありし日のエピソードを披露していた。(毎日新聞デジタル)