平原綾香:夢は東京五輪の開会式で歌うこと! デビュー10周年で移籍第1弾アルバムを発表

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 12月でデビュー10周年を迎えた平原綾香さん。今年はレーベルを移籍して心機一転、10周年記念の全国ツアーやシングル「翼」と「Shine−未来へかざす火のように−」をリリースするなど精力的に活動している。そんな平原さんのレーベル移籍第1弾アルバム「What I am」をリリース。そのアルバムについてやレーベル移籍、10周年について話を聞いた。(榑林史章/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−10年在籍していたレーベルを離れ、新天地で活動を始めた気持ちは?

 最初は不安もあったし、はざまで活動できない時期があったのは正直つらかったです。でも正式に決まってみなさんに発表できたときは、すがすがしい気持ちでしたし、新しいスタッフとの制作が始まることへのワクワク感も大きかったです。スタッフと一丸でいい音楽を届けていきたいという気持ちは、前のレーベルも今のレーベルも同じですが、船の進む先をしっかり指し示す船長の役割をもっとしっかり果たさなくてはいけない!と、より強く思っています。

 −−レーベル移籍第1弾アルバム「What I am」は、デビュー曲の「Jupiter」の編曲を手がけた坂本昌之さんが共同プロデュースで名を連ねていますね。

 坂本さんは私の表現したいことを最も理解して、実現させてくれる魔法を持っている方です。大先輩なのに常に私の目線で、寄り添うような形で携わってくれます。特に「my Classics!」シリーズでは「ロミオとジュリエット」をはじめたくさんお世話になって、ピアノの前でひざをつき合わせて7時間も一緒に考えてくれたこともありました。

 −−今回の制作で、これまでと違った点はありましたか?

 今回はコンサートツアーと同時進行で、それは初めてだったのですごくいい勉強になりました。体力的にきつい部分もありましたが、すごく良かったと思う面もあって。ツアーでお客さんと心のキャッチボールをしたことで、気持ちがオープンになっていろいろな言葉が生まれて。今までは作詞は少し苦手でしたが、今回は悩むことが一度もありませんでした。

 −−今回のアルバムは、クラシカルな部分もありますが、R&Bやソウルのテイストもふんだんにあって、さらにJ−POPと呼べる楽曲もあって。その三つがいいバランスでトライアングルを描いていると思いました。

 私はクラシックもR&BもJ−POPもすべて好きで、ジャンルに関係なくそのときいいと思う曲を歌うようにしているのですが、それがときにまとまりのない作品を生むこともあって。聴く人にとっては聴きづらいものになってしまっているんじゃないか?というのが、この10年、悩みどころの一つでした。なので、そんなふうに言ってもらえたのはうれしいです。これが平原綾香なのだと、みなさんにも分かってもらえたらうれしいです。

 −−アルバム収録曲「あいのうた」は、東日本大震災に起因しているそうですが。

 「あいのうた」は男女の恋愛の歌とも取れるし、いろいろ読み取れるように書いていますが、裏テーマはクリスマスです。きっかけは石巻に住んでいる女性ファンとの出会いで、その方は息子さんをお2人亡くされているのですが、毎回コンサートに来てくれるといつも笑顔なんです。泣きながら笑っているというか。私はそれがすごく切なくて、そういう震災で大切な人を失い傷ついた方でも安心して聴けるクリスマスソングを贈りたいと思って作りました。

 −−また映画「レ・ミゼラブル」の主題歌「I Dreamed a Dream」のカバーも収録されていますね。

 これはコンサートツアーのときに披露したのですが、すごく評判がよかったので、コンサートと同じバンドメンバーで収録しました。一番自分を分かってくれていると思える曲です。つらかった自分、苦しかった自分を理解して包み込んでくれる、理解者のような曲。それはきっと聴いてくれるみなさんにとってもそうで、だからこそみなさんこの曲に引き込まれるのだと思います。私もコンサートツアーのとき、泣きながら歌ったことがありました。

 −−そしてアルバムのタイトル「What I am」ですが、これにはどういう気持ちを込めたのですか?

 直訳すると「私って何?」という意味になるので、少し分かりづらいかなと思ったのですが……アルバム全体を通して、ありのままの正直な私が反映された作品だと思ったので、これに決めました。アルバムは私の作品集であると同時に、聴いてくれる人のものにならないと意味がないと思っています。実際にそういう作品になるように、曲作りも曲順も考えました。ぜひ、自分自身と重ねながら聴いてもらえたらうれしいです。

 −−さて、今月10周年を迎えたわけですが、これからの10年はどのように考えていますか。

 かなえたい夢をより明確にして、みんなで向かっていきたいと思っています。新しいチャレンジも続けていきたいと思って、近いところでは「オペラ座の怪人」のその後を描いた、ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」でクリスティーヌ役を演じます。それと2020年に東京五輪が決まったので、開会式で歌いたいという新たな夢も生まれました。まじめに頑張っていれば、きっと神様はご褒美をくれると信じています!

 <プロフィル>

 1984年5月9日生まれ、東京都出身。2003年12月にシングル「Jupiter」でデビュー。これまでに31枚のシングル、11枚のアルバムをリリース。全曲クラシックのカバーアルバム「my Classics!」は、「第51回輝く!日本レコード大賞」で優秀アルバムを受賞。13年、ユニバーサルミュージックに移籍、12月でデビュー10周年を迎えた。14年3月12日から日生劇場(東京都千代田区)で公演されるミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」に出演する。

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