「AKB48」の独り勝ちかと思われた女性アイドルシーンだが、2012年は「ももいろクローバーZ(ももクロ)」が大ブレークした。昨年は、ももクロほどブレークしたグループはいなかったものの、ももクロの妹分「私立恵比寿中学(エビ中)」もさいたまスーパーアリーナで単独公演を成功させ、1万人以上を動員するなどの活躍を見せた。アイドル戦国時代と呼ばれて久しいが、14年は“二大巨頭”に並ぶグループが登場するのか? 頭角を現しつつあるグループに注目する中で、エビ中を筆頭とした“妹分の台頭”や“ソロの時代の到来”などのキーワードが見えてきた。(毎日新聞デジタル)
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5000~1万人を集客可能な日本武道館規模の会場で、ライブを成功させるアイドルグループは多いが、、日産スタジアムなど数万人収容の大会場を埋めることができる“スタジアム級”の女性アイドルは、AKB48とももクロのみであるのが現状だ。
AKB48などトップアイドルから、CDを手売りする“地下アイドル”まで取材し、アイドル情報番組などを手がけるアイドルジャーナル社の楠山幸英編集長は、14年の女性アイドルシーンを「スタジアム級とほかのグループの壁は厚く、14年に新たなスタジアム級のグループが出現するのは難しいでしょうね。スタジアム級以外のアイドルグループの多くは武道館公演を目標にしていますが、エビ中のようにさらに大きな会場でライブを成功させるグループは出てくるかもしれません」と予測する。
エビ中は昨年、12年5月のメジャーデビューから日本のアーティストとしては史上最速の1年7カ月で、さいたまスーパーアリーナでのライブを成功させたほか、サークルKサンクスのCMにも出演して露出を増やすなど躍進。エビ中は、ももクロと同じスターダストプロモーションに所属し、ももクロの楽曲を手がけてきた前山田健一さんが楽曲提供したり、ももクロのライブに出演するなど“妹分”として活動している。楠山編集長は、エビ中の人気が急上昇した背景を「ももクロのファンを取り込んでいる」と分析。12月には来春の武道館公演でメンバー3人が“転校(脱退)”することも明かされ、14年の動向が注目される。
さらに、ももクロは、エビ中以外にも、名古屋の「チームしゃちほこ」や関西の「たこやきレインボー」、神奈川・湘南の「KAGAJO☆4S」といった地方を拠点とした“妹分”が活動しており、一大勢力になりつつある。AKB48とSKE48などその姉妹グループ、「モーニング娘。」「℃−ute(キュート)」「Juice=Juice」などの“ハロプロ勢”、「SUPER☆GiRLS」「Cheeky Parade」などの“iDOL Street勢”……というようにアイドルグループの“軍団化”は珍しくなく、アイドル戦国時代と言われる中、ファンの囲い込みを狙っているようだ。
派生グループが人気となり、その相乗効果で“母体”のファンも増えるという珍しい現象も起きている。アイドルとメタルの融合を目指す異色の「BABYMETAL(ベビーメタル)」は、メンバーが中学3年の3月になると卒業するというルールのアイドルグループ「さくら学院」の派生ユニットで、13年は8000人規模のライブを成功させるなど成長し、その人気は本家の「さくら学院」以上とも言われている。楠山編集長によると、「ベビーメタル」のファンが「さくら学院」のライブに足を運ぶようになるという相乗効果が起きているという。
一方で楠山編集長は、今後のトレンドについて「ここ1、2年で、“ソロの時代”がくるとも言われています」とも予測。「グループからソロとなり、成功するパターンもあるでしょう。注目は、13年にソロプロジェクトを始動した元さくら学院の武藤彩未さんで、既にアイドルファンの間で話題になっています」とも話す。
また、13年は ネットで“天使すぎる”などと絶賛され、人気に火が付いた橋本環奈(はしもと・かんな)さんも話題になった。橋本さんは、福岡を中心に活動するアイドルグループ「Rev.from DVL」のメンバーで、ネットで話題になるまでメディアへの露出はほとんどなかった。楠山編集長は「14年は、橋本さんに続き、ネットからブレークするアイドルがどんどん出てくるかもしれません。それは地方のアイドルかもしれないし、読めないところが面白い」と期待を寄せる。
エビ中を筆頭とした人気グループの“妹分”が存在感を増すのか? それとも、ソロの時代が到来するのか? それとも、ネットから新たな“国民的アイドル”が登場するのか? “妹分”“ソロ”“ネット発”の三つのキーワードが、14年のアイドルシーンを左右しそうだ。