注目映画紹介:「エージェント:ライアン」 CIAエージェントになるまでを描く“エピソードゼロ”

「エージェント:ライアン」の一場面 (C)2012 Paramount Pictures.All Rights Reserved.
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「エージェント:ライアン」の一場面 (C)2012 Paramount Pictures.All Rights Reserved.

 トム・クランシーさん原作の人気スパイ小説、ジャック・ライアン・シリーズを原案に映画化した「エージェント:ライアン」が15日から全国で公開された。同シリーズはこれまでも映画化されてきたが、今作はライアンがCIAエージェントになるまでを描いた、いわゆる“エピソードゼロ”に当たり、脚本を担当したアダム・コザッドさんとデビッド・コープさんによるオリジナルストーリーが展開する。新生ジャック・ライアンを演じるのは、「スター・トレック」(2009年)でジェームズ・T・カークを演じたクリス・パインさん。ライアンの恋人役でキーラ・ナイトレイさん、ライアンの上官役でケビン・コスナーさんが出演している。

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 ニューヨークのウォール街にある投資銀行で働くライアンは、実は経済界の不審な資金の流れを探るCIAのアナリスト。彼はある日、モスクワの投資会社チェレビン・グループの不穏な動きに気付く。報告を受けた上官ハーパー(コスナーさん)は、ライアンを現地に向かわせる。初めての現場任務に戦々恐々と就いたライアンだったが……という展開。

 もはや核爆弾と大掛かりなアクションだけではいまどきのスパイ映画は成り立たないとばかりに、経済や情報戦といった知的なネタが仕込まれている。それでいて専門用語が次々と出てきて分かりづらくなることはなく、ほどよくアクションを盛り込み、サスペンスとスピード感に富んだ作品に仕上がっている。ジャーナリストの池上彰さんが字幕を監修したことで、複雑な世界情勢が分かりやすく“解説”されていることの効果も大きい。ライアン役のパインさんは、当初、「スター・トレック」のカーク役との差別化が懸念されたが、今作では初心者のスパイ1年生をなんなくこなし、“新生ジャック・ライアン”にふさわしい活躍を見せている。「マイティ・ソー」(11年)でメガホンをとったケネス・ブラナー監督が手掛けた。ブラナーさんはチェレビン役もこなしており、世界恐慌を企てるロシアの悪人を貫禄たっぷりに演じている。15日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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