テレビ試写室:「シドニアの騎士」 細やかな作りは見事 ロボットアニメ再興に期待

アニメ「シドニアの騎士」のビジュアル(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作
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アニメ「シドニアの騎士」のビジュアル(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまでさまざまなジャンルのテレビ番組を、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は10日深夜から順次放送されるアニメ「シドニアの騎士」(MBS、TBSほか)だ。

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 原作は、月刊アフタヌーン(講談社)で連載中の弐瓶勉さんのマンガ。謎の生命体「奇居子(ガウナ)」によって存亡の危機に立たされている人類が、戦闘兵器「衛人(モリト)」で戦う……という内容だ。人類の一部は、巨大な宇宙船「シドニア」で宇宙を旅しているという設定で、主人公の少年・谷風長道(たにかぜ・ながて)は、シドニアの最下層でひっそりと暮らしていたが、祖父の死とともに地上に出て捕まると、なぜか衛人の訓練学校に入り、しかも伝説的名機の「継衛(ツグモリ)」が与えられる。

 もともとマンガ好きの間では評価の高かった作品で、人が「光合成」をしたり、男女以外の性別があって自らクローンを残せたりする独特のSF設定が持ち味。話が進むと、さまざまな謎が解き明かされていくのだが、複雑な設定を理解しなくてはいけない“通好み”であるため、読者を選ぶ作品ではあった。

 アニメの1話を見て感じたのは、見せ場を作りつつ、複雑な世界観を丁寧に分かりやすくしようと心を砕いたスタッフの努力だ。登場人物の紹介も兼ねながら、複雑な世界観の設定をひもといていく流れになっている。奇居子との戦闘も迫力満点で、有名なSF映画を思わせる演出もにくい。世界観は未来的なのに、ゲンかつぎをしたり、相手に嫉妬(しっと)する人たちの姿も描かれるなど人間くさいのも魅力的だ。

 気になる点といえば、気合を入れて見ないとついていけなくなること、作品の質がこのまま持続するのか?と思えるほど作り込んでいる点だ。ここ最近、ロボットアニメが苦戦しているだけに、期待したい。

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