ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
「HUNTER×HUNTER」のゴン役などで人気上昇中の声優・潘めぐみさんと、「機動戦士ガンダム」のララァ役などの声優としても知られる母親の潘恵子さんが、さまざまな思いや出来事を交換日記形式でつづります。今回は、めぐみさんが「プリキュア」シリーズに受け継がれる絆について語ります。
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みなさん、おはようございます! こんにちは、こんばんは、はじめまして! 潘めぐみです!
寒さもゆるみ暖かくなってきた今日このごろ。今年も桜の開花に春の訪れを感じて、日本の四季に安心感を抱いて。読者の方の中には、お花見にいかれた方も多いのではないでしょうか。
私もお花見に行きましたよ。趣味であるカメラを理由に出かけては、桜の咲いた景色をおさめながら、お花(を)見(て)。
カメラは自分を外に連れ出してくれます。これといって遠出をした訳ではないのですが、カメラを手にすると、日常のどんな見慣れた景色でも新鮮に見えることが多いのです。そんな景色見たさに、遠回りをしたくなるのです。そんな景色たちを今回から載せていこうと思います。今月の写真は、桜です。
さあ、桜も舞い散る4月は、新たなスタートを切る季節。街に繰り出してみると、そこには入学式を終えた学生の方々や新社会人のみなさんが。私も大学を卒業してかれこれ3年になりますが、“潘さん”もおっしゃっていた通り、私の飛び込んだ世界は「卒業のない大きな学校」です。
「役者を始めたとたん、たくさんの先輩に出会って教えを請い、点数もなければ卒業もないし、ゴールもない。そしてその中で先人の意を継いで、次に渡していく……」。
潘さんは、こうおっしゃっていました。この1カ月の間に私自身もそのことを改めて感じた出来事があったのです。それは「映画 プリキュアオールスターズ New Stage3 永遠のともだち」の公開を記念した数々のイベント!
この1カ月は、ひなまつりイベント、劇場版の初日舞台あいさつ、今回の劇場版を含めたシリーズ3作品の同時上映イベントと、先月は盛りだくさんでした。それぞれにお越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。小さなお友達から大きなお友達まで、直接お会いできたこと、本当にうれしかったです。イベントに参加できなかった方々も、劇場に足を運んでくださったり、毎週オンエアを見てくださったり……。いつも支えてくださっている、全国の、全世界の、プリキュアファンのみなさんに、心から感謝しています。
こうしてみなさんと一緒に過ごした数々のイベントを通して、「プリキュア」もまた「卒業のない大きな学校」に通ずるものがあると感じたのです。
今回それを話すにあたって、「永遠のともだち」の中で、大切にしていたことがあります。それは「つながり」です。この「つながり」を感じる一つのきっかけとなったのが、「永遠のともだち」の中でも印象的だった、手を取り合うカット。このカットが随所に盛り込まれていたことです。
このカットは、初代プリキュアのキュアブラックとキュアホワイトの必殺技「プリキュア マーブルスクリュー マックス」にはじまり、「ハピネスチャージプリキュア!」でいうところのキュアラブリーとキュアプリンセスの戦闘シーン。2人がピンチに陥ったとき、ラブリーがプリンセスに手を差し伸べ、互いに手を取り合って握りしめるカット。ここで2人の手のアップが大きなスクリーンいっぱいに広がるのです。
これは、初日舞台あいさつにいらしていた「永遠のともだち」の小川孝治監督にうかがったのですが「そのカットでラブリーとプリンセスが手を取り合った時のギュッという音は、初代の『ふたりはプリキュア』のキュアブラックとキュアホワイトから、ずっと受け継がれてきた音なんです。絵コンテには『(効果音は)いつもの音』って書いてあります」と答えてくださいました。
このお話に強く心を動かされました。歴代のプリキュアがつむいできた10年間。それぞれのシリーズがある中で、プリキュアという一つの大きな存在の、その魂と共に受け継がれてきた「いつもの音」のバトン。手を取り合うことは、決して一人ではできない。自分に対して相手がいなければ成り立たない行為。当たり前のようで、とても大切なこと。この「つながり」は、「みらいのともだち」、「こころのともだち」、そして最終章の「永遠のともだち」という「New Stage」シリーズ3作品のタイトルにも通じるものがあると思うのです。
このことを今回のイベントを通して観客のみなさん、「おともだち」のみんなに伝えさせていただいたのですが、その後の打ち上げの場で、この「つながり」は、「New Stage」シリーズに限らず、「プリキュア」の一つのテーマにもあると、小川監督からうかがいました。
そしてそれは、プリキュア同士だけでなく、先代のプリキュアを演じられた役者の先輩方との間にも。先輩プリキュアのみなさんには、他の現場でお会いする機会も多く、その度に「ハピネスチャージプリキュア!見てるよ」「収録どう?楽しんでる?」「何かあったら、いつでも連絡ちょうだいね」とお声をかけてくださるのです。プリキュアのお話をしたり、ご飯を食べにいったり、普段から連絡を取り合うことも。
冒頭でお花見の話題に触れましたが、実は「プリキュア」の共演者のみなさんや関係者のみなさんと一緒にお花見パーティーをしたのでした。そのときに「フレッシュプリキュア!」キュアピーチ役の沖佳苗さんと「スマイルプリキュア!」キュアマーチ役の井上麻里奈さんとお話ししていたこと。「アフレコにオンエアと、最終回を迎えても、たまにみんなで集まったりしてるよ。同窓会というよりか、まだ続いてる気がするんだよね」。
この言葉に納得している自分がいました。それは「つながり」を感じるから。そうそう、お二人とは、「デジモンクロスウォーズ~時を駆ける少年ハンターたち~」で、私のデビュー当初に共演させていただいて、大変お世話になった先輩方。こうしてまた「プリキュア」を通じて、3人そろって再会することができました。そういえば「デジモンクロスウォーズ」のメンバーともまた、今でもご飯を食べたり、お酒をたしなんだり、どこかへ出掛けたりしています。
こうして、アニメの本編や収録が終わった後も、みなさんにお会いできる、ずっと、ずっと、つながっている。この「つながり」は、やはり人の縁。どんな仕事においても、いや、仕事以外のことにおいてもそうです。「プリキュア」は、まさにそれを伝えてくれているような気がします。たとえ遠く離れていても、たとえ住む世界が違っていても、ずっと、ずっと、つながっているということ。
それは、プリキュア同士だけでなく、共演者の方々、作り手のみなさん、そして、日ごろから応援してくださっている、すべての人たちとつながり、これからもつながっていく。上映イベントにて、中島愛さん、生天目仁美さんと登壇させていただいた時もお話させていただいたこと。「これからも、ずっと、ずっとプリキュアが続いていって、おばあちゃんになっても、プリキュアできたらいいな」。
10年前、初代プリキュアである「ふたりはプリキュア!」にご出演された野沢雅子さんが「10年間続くといいわね」とおっしゃられたそうです。それから10年の時をへて続いている「プリキュア」。これからも、ずっと。
表現の世界には、卒業もなければ、定年もない。先輩方からの教え、先輩方が残してくださったもの、それをまた次の世代へ。私もバトンを手渡せるように、つなげていくよ、お母さん。
潘めぐみ(はん・めぐみ)=1989年、東京都生まれ。2008年に映画「櫻の園」の一般公募オーディションに合格し女優デビュー。ドラマ「オトメン−乙男−」のほか舞台などにも出演。11年に、100人を超えるオーディションをへて、アニメ「HUNTER×HUNTER」の主人公・ゴン役に抜てきされた。アニメ「ハピネスチャージプリキュア!」の白雪ひめ役、ゲーム「The Last of Us」のエリー役などを好演し注目を集めている。
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