4人組ロックバンド「JUN SKY WALKER(S)(ジュン・スカイ・ウォーカーズ、通称ジュンスカ)」のボーカリストとして知られる宮田和弥さんが、4枚目のソロアルバム「Naughty」を23日にリリースした。タイトルの「Naughty」とはいたずらな、わんぱくなの意味。今作は“ポップな歌唱や音作り”をテーマに制作され、ジュンスカとはまた違った表情が楽しめる1枚に仕上がっている。最近はバンドとソロの活動がいいバランスで「本当に音を楽しめている」という宮田さんに、新アルバムの話やバンドにまつわる秘話などについて聞いた。
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−−バンドとソロ、それぞれで感じる利点、難点はありますか?
バンドはやっぱりみんなの意見をすり合わせなきゃいけないんで、ケンカにもなったり。「ムカつく」とか(笑い)。(メンバーは)中学1年のころからの同級生だったりするから、兄弟ゲンカじゃないけど、わがままが出たりするわけですよね。そういう中で1回バンドを解散してるし、ホントに仲が悪い時期もあって。ただ、1人になったらなったで「1人ってやっぱり寂しいな」って。人ってわがままなものだなって思います。
−−今回のソロアルバム「Naughty」で目指したことは?
ロックというよりは、もっとポップだったりソウルだったり、歌ももうちょっとハネてるというか、歌い方や表現方法を広げた作品というか。新しい宮田和弥の扉を開こうっていうことで、作詞作曲も人にお願いして、このアルバムのために書き下ろされた「口ずさめば」、番組タイアップ(日本テレビ系「ぶらり途中下車の旅」エンディングテーマ)があるということで書き下ろされた「想い」「lala ハレルヤ」、あとは、それこそ10年以上前に作って引っ張ってきた作品もあるし。1曲目の「口ずさめば」は、ちょっと優しく歌うみたいな感じで、ボイストレーニングの先生に歌い方を教えてもらって、練習しながら新しい取り組みをしたという。
−−「口ずさめば」は、「君に歌いたい愛がある……」というフレーズを含めて、かなりストレートなラブソングになっていますね。
自分では絶対に書かないメロディーと歌詞ですね。僕は女子に対しては、もうちょっと“S系”な感じというか(笑い)。普段はこういう(歌詞にあるような)人間ではないです。でも不思議なもので、メロディーに乗せて歌うとしみ込んでくるというか……。日常の中でも、例えば「好きだよ」とか「愛してる」って言った方がいいと思うし、言ってもらったら女の人もうれしいじゃないですか。僕も歌うことによってそういう感情を持とうと考えたり、自分を成長させてくれる歌なのかなって。
−−「ぶらり途中下車の旅」のエンディングテーマは、7月度に入って「想い」から「lala ハレルヤ」に変わりましたね。
「想い」のアタマの「傘の先っぽから 床に広がった……水溜まり」っていうのは、電車に乗ったときに傘を床にコツンとつくと、(水が)たれるじゃないですか。まさに“ぶらり途中下車”のイメージで、アレンジも、ちょっと軽快なものをっていうのでカントリー調の音感を入れたり。「lala ハレルヤ」も、「転がってくんだ……」「明日の成功は 今日の気持ち次第……」っていうのは「ぶらり~」があって書いた歌詞で、アレンジもハープシコードのサウンドを入れることで、転がっていく感じ、“旅感”を出しました。
−−また、「奇跡」などの優しいラブソング、「キミのいない明日」「Strawberry」などのノスタルジー系の曲もあったりしますね。
「奇跡」は、結婚式とかで歌ってもらえるようなウェディングソングを作ろうっていうことで、僕も自分が結婚した20年以上前のことを「結婚のときってどういうふうに思ったかな」ってちょっと思い浮かべたりしながら歌詞を書いたんです。新郎新婦がお父さん、お母さんに手紙を読んだりしているビデオとかがYouTubeにアップされていて、そういうのを見て自分の感情を高ぶらせて書きました。「キミのいない明日」は長く付き合って一緒に住んでるカップルか夫婦が別れた歌、「Strawberry」は初恋が終わった歌、「口ずさめば」はウキウキなカップルの歌……。ラブソングはそういう主人公やテーマを決めて書いていきました。
−−ちなみに、今作をジュンスカのメンバーに聴かせたりしましたか?
それがしてないんですよ(笑い)。ただ、僕がJet−Kiというバンドをやっていたときに、(ギターの)森純太がタワーレコードかどっかに行って(Jet−Kiの作品を)視聴して、いいっていうんで「買ったよ」っていうメールをくれたことはあって、それはうれしかったですね。そのときはジュンスカは解散してましたから、そういうのもあって一つずつ(わだかまりが)溶けてきて、また再結成につながっていったのかなと思うんですけど。
−−バンドとソロの両方を経験して感じることはありますか?
バンドとソロって家族旅行と1人旅の違いみたいな。買い物でもいいと思うんですけど、例えばデパートに買い物に行くと、カミさんはこっちを見たい、子供はあっちのおもちゃ売り場に行きたい、お父さんはそれに付き合わなきゃいけない。1人なら好きなだけ洋服を見たり勝手に歩き回ることができる。僕にとってJUN SKY WALKER(S)は家族っぽいところがあって、家族は家族の大変さと楽しさ、1人は自由にやれていいけど1人のプレッシャーもあるし。もしこれが、バンドが再結成してなくて自分1人だけだったら、プレッシャーにつぶされたり、ダメになってたりしたかもしれないなって。だから、バンドがあるから1人でやれているというか、今、楽しいのかなと思うんですよね。
<プロフィル>
みやた・かずや 1966年2月1日生まれ、東京都出身。88年にJUN SKY WALKER(S)のボーカルとして、ミニアルバム「全部このままで」でデビュー。97年にバンドは一度解散するが、2011年に完全復活を宣言。バンドが解散していた時期に3枚のソロアルバムをリリース。宮田さんが初めてハマッたマンガは「釣りキチ三平」。「小学生のとき、父親と一緒に多摩川に釣りに行ってまして。そういう中で、『釣りキチ三平』は、主人公がまだ誰も行ったことがない湖や池に行って大物を釣ったりする話なんですけど、それが非常に大好きで、一番ハマッたマンガでした」と話した。
(インタビュー・文・撮影:水白京)
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