注目映画紹介:「STAND BY ME ドラえもん」初3DCGでドラえもんとのび太の出会いと別れを描

「STAND BY ME ドラえもん」の一場面 (c)2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会
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「STAND BY ME ドラえもん」の一場面 (c)2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会

 藤子・F・不二雄さん原作の人気マンガ「ドラえもん」を初めて3DCG化した劇場版アニメ「STAND BY ME ドラえもん」が8日に公開される。今作は「のび太の結婚前夜」や「さようなら、ドラえもん」といった原作の中でも名エピソードといわれる回を基に、ドラえもんとのび太の出会いから別れまでを一つの物語として描いていく。「friends もののけ島のナキ」を手がけた山崎貴監督と八木竜一監督のコンビがダブルで監督を務め、テレビアニメでおなじみの声優陣に加え、トヨタの「ドラえもん」実写化CMシリーズでのび太を演じている俳優の妻夫木聡さんが大人になったのび太の声を好演している。

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 勉強もスポーツも何をやってもさえない小学生・のび太(声・大原めぐみさん)の前に、ある日、22世紀からのび太の子孫であるセワシとネコ型ロボットのドラえもん(声・水田わさびさん)がやって来る。のび太が作ったばく大な借金が原因で、セワシの代まで迷惑をこうむっているという。悲惨な未来を変えるため、セワシはドラえもんをのび太の世話係にしようとするが、乗り気ではないドラえもんに対してのび太を幸せにするまで22世紀に帰れなくする「成し遂げプログラム」をセット。のび太とドラえもんは幸せな未来を手に入れるべく一緒に暮らし始めるが……というストーリー。

 誰もがよく知っている「ドラえもん」という作品だけに、3DCGで描かれることに少なからず不安を抱きながら鑑賞すると、想像をはるかに上回る驚きが待ち受けていた。3DCGで描かれた各キャラクターは元が2Dキャラとは思えないほどのリアリティーにあふれ、ドラえもんも違和感なく3D化し、そこに存在している。21世紀のシーンも “宙を飛ぶ車”をはじめ、のび太たちが暮らす1970年代半ばに思い描かれていた未来世界をイメージしたデザインが描かれており、楽しい。原作を生かしつつ、オリジナルのデザインで描かれた「ひみつ道具」もどこか高級感があふれ、大人が見てもカッコよくておしゃれだ。原作から厳選された七つのエピソードを核とし、新たな要素などを加えて再構築された脚本は、まるで初めから1本の物語として用意されたのではと感じるほど構成が練られており見事。自分が思っている以上に自分の心に「ドラえもん」が刻まれていることに気付かされ、映像美と真っすぐな物語にドキドキ感やワクワク感、さらにはじーんと感動までを味わわせてくれる良作。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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