はに丸:25年ぶりに復活 なぜ今「はにゃ?」が必要なのか

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 1983~89年にNHK教育テレビ(現Eテレ)で放送され、人気を集めた子ども向け教育番組「おーい!はに丸」のキャラクター「はに丸王子」が、13日の特別番組「はに丸ジャーナル」で復活する。当時は、絵の世界から飛び出し、言葉を学んできた「はに丸王子」が、現代ではジャーナリストとなった「はに丸王子」が「ひんべえ」と、そして、分からないことがあったときに飛び出すあの名せりふ「はにゃ?」で時事問題に切り込むという内容だ。「はに丸ジャーナル」を担当した河瀬大作プロデューサーに、気になる質問を「はにゃ?」とぶつけてみた。

ウナギノボリ

 ーー25年が経過した今、なぜ「はに丸王子」が必要なんだと思ったのでしょうか。

 まず、今の世の中は「未来」「真実」といったことの何もかもが見えにくい時代になっていると感じていました。メディアにしても多メディア化しすぎて、真実がどこにあるのか、何が本当なのか分かりにくいんですよね。そして、それらに明確な回答を出せる人も少ないと感じていました。そこで、絵本の世界から飛び出し、日本語を勉強してきた「はに丸王子」というキャラクターにニーズを感じました。

 ーーはに丸王子にニーズを感じたきっかけは?

 もともとは、昨年に放送したNHKと日本テレビが共同制作したテレビ60年の特別番組「NHK×日テレ 60番勝負」という番組で、NHK側から、はに丸王子と「できるかな」のごん太くん、うたのおねえさんを経験したタレントのはいだしょうこさんにインタビュアーとして、日本テレビ社屋に行ってもらったんです。その当時は、日本テレビは“視聴率3冠王”を獲得していました。「はに丸王子」が、日本テレビの社員の方に「どうして一番じゃなきゃいけないの?」と質問をすると、社員の方が「はに丸くんは徒競走で一番になりたくないの?」って返したんです。そうしたら「僕は参加できるだけでいいと思う」って答えたんです。このやり取りが、とても面白く感じました。

 ーー「とても面白く感じた」理由を詳しく教えてください。

 「はに丸王子」が復活するまでのこの25年で日本は大きく変わりました。「昨日より明日がよくなる」という時代から「昨日より、明日が分からない」という時代や社会になっています。子どもは、時おり、素直な気持ちで根源な質問をするので、“大人の常識”みたいなものが通用しない時ってありますよね。そして、子どもに質問をされた大人は、子ども相手だと丁寧に分かりやすく説明をしようとするんですよね。そこから、子どもの「はに丸王子」が“質問王子”となって、大人たちに「聞きにくそうなこと」に切り込んでいく。「はに丸王子」の無双っぷりは、もしかしたら日本を大きく変えてくれるのではないかという期待もしています。

 ーー番組内で「はに丸王子」がインタビュアーになった「はにトーク」では、報道番組の元キャスターでエッセイストの阿川佐和子さんがゲスト出演して対談しますね。

 子どもの「はに丸王子」が大人に質問をするというところから、「質問をして話をよく聞く」という重要性に気付きました。そういった経緯から阿川さんに出演していただきました。質問合戦は見ものだと思います。

 ーー時事問題の現場をリポートする「はにスクープ」というコーナーで「はに丸王子」がIT企業「Google(グーグル)」に突入しています。

 「はに丸王子」が復活する間の25年で、大きく変わったものはなんだったのかと考えたときに「インターネットの普及」だと思いました。街を見渡せばスマホや携帯を手放さない人がたくさんいます。今の世の中を見た「はに丸王子」は、スマホや携帯のことを最初に疑問に感じるはずだと思いました。そこで、IT企業「Google」(東京都港区)に協力をしていただきました。「はに丸王子」が「Google」に突入し、独特の社風やインターネットを駆使した業務に素直な質問をしていきます。

 ーー改めて「はに丸ジャーナル」の見どころをお願いします。

 都合のいい答えに「はにゃ?」と受け流し、聞きにくいことに鋭い質問をするという、ブラックな一面も併せ持つ子どもキャラクターの「はに丸王子」が、大人たちをタジタジにさせます。普段、意識していない部分に、あえて質問することで新たな気付きがあると思います。ぜひお楽しみください。

 *……「はに丸ジャーナル」(NHK総合)では「はに丸王子」が世界のニュースを紹介する「はにワールド」コーナーも。ゲストは鳥越俊太郎さん、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さん、豊田エリーさん。13日午後7時半に放送。

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