トランスフォーマー/ロストエイジ:オプティマスの声担当の玄田哲章に聞く「今作は感情露わに」

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 映画「トランスフォーマー/ロストエイジ」(マイケル・ベイ監督)が全国で公開中だ。車やヘリなどに形状を変えられる金属生命体や人間たちの戦いを描く「トランスフォーマー」シリーズの最新作で、今作が第4弾となる。キャスト一新や人気キャラクターのオプティマスやバンブルビーのデザインがリニューアルされているほか、恐竜型のトランスフォーマーなども新たに登場し、話題を呼んでいる。シリーズを通して日本語吹き替え版で司令官・オプティマスプライムの声を担当している玄田哲章さんに「トランスフォーマー」の魅力や最新作について聞いた。

 ◇ロボットものだがドラマも描かれている

 「トランスフォーマー」シリーズは、今年で生誕30周年を迎えた。最新作の公開に加えて多彩なイベントも開催されるが、玄田さんは「これだけ続いてくるというのはなんでしょうね」といいつつ、「特に実写になったというのはすごい大きい」と続ける。「それまでのアニメの『トランスフォーマー』のイメージから実写でこんなことをやっちゃうの、みたいな世界観にガラッと変わり、またファンが増えたのでは」と持論を展開する。2007年の実写化で制作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグさんについて、「よくこんなことを考えたのと、スピルバーグという人はすごいなと思います」と表現する。

 さらに作品の構成を「ドラマもちゃんとしているし、ただロボットがいるだけではなくてちゃんと感情移入ができ、(ストーリーに)山場もあってそういう意味ではすごい生かし方がうまい」と絶賛するが、「実写になって(大丈夫なのか最初は)本当は怖かった」という。しかし「アニメの世界観と実写ではまた違い、世界がすごく広がっていったなという感じ。ほかのアニメも実写化されることもありますが、『トランスフォーマー』に関してはとにかく驚きです」と語り、「(実写化されて)よかったなと思っています」と笑顔を見せる。

 自身は役を引き受ける側と話す玄田さんは、「自分からやりたいといって(役を)できるわけではないし、特に向こうで作るとオーディションがあって、オーディションは全然キャラクターにはまらなかったりもする」と説明。続けて、「いくら日本で(声優を)やっていてもそのへんはすごく(シビアで)残酷というようなところもある」と打ち明け、「そういうことを知っているから、決まるまでは安心ができずドキドキしました」と声優に決まった時のことを振り返る。

 ◇戦いに向かう時の声には気持ちが大事

 今作からリニューアルされたオプティマスのビジュアルを「カッコいい」とたたえ、「すごく精悍(せいかん)さが出ていて、これまで以上にいい」と頼もしげにポスターを見つめる。外見はもちろんだが、オプティマスのどこにカッコよさを感じるのか。今作のストーリーにからめて、玄田さんは「新しい敵も現れ、地球からも追われていて、仲間も少なく、絶体絶命みたいなところからドラマが始まるのですが、相変わらず意志は強い」と強靱(きょうじん)な精神力を挙げる。そして「これまで人間に対して協力してきたのに裏切られた……というわりには実際はまだそうは思ってなくて、どこか余裕すら感じさせる。地球が好きなんでしょうね」とオプティマスの“心情”を分析し、「何がいいのかはよく分からないですが、とにかく最終的には『俺が守る』みたいなことを言う」ところに引かれるのだという。

 オプティマスが戦闘に挑むなどアクションも見どころだが、アクションに身を投じていく役柄を演じる時の心構えは? 玄田さんは「気持ちが大事」と切り出し、「このトーンでいこうとかではなくて、最終的に気持ちがうまく言葉に乗ればいいなとは思う」と声に意気込みを乗せるという。そして、「本当はいつも同じにできないといけないんだけど、ある程度シチュエーションが分かると慣れてきてしまうから、何回もテストしてしまうとなかなか難しい」と語り、「いろいろ(声の)パターンはあるから、どうしても『さっきの方がよかったな』とかはあります」と打ち明ける。今回のオプティマスについては「戦いの時に微妙なニュアンスの違いを出す」ことを念頭に入れて演じたという。

 ◇声優になり立てのころの貴重なエピソード

 数多くの作品に携わってきた玄田さんが声優になったきっかけは当時、声優で演出家の野沢那智さんがアニメ番組のプロデューサーに紹介してくれたことだという。「別に紹介してくれただけで、やめてもいいし、行かなくてもいいような感じだった」と冗談めかす玄田さんは舞台役者だったが、「ディレクターなどの考え方や作品に対する考え方といったものが、仕事をしていくことで『そういう感じ方もあるんだ』と考えるようになり、仕事としては面白いかなと思って(声優に)傾いていった」と声優の面白さに目覚めていったことを明かす。

 しかし、当時の玄田さんはまだアニメの台本の見方すら分からないほどだったにもかかわらず、「大先輩たちはリハーサル中、(せりふを)声に出さない。フィルムを見ながらせりふを言ってくれればどこをやっているか分かるけど、言わないし、台本の見方が分からないから、分からないままリハーサルが終わってしまった……」と困惑したという。さらに「今度はマイクの前に立つんだけど、どこのマイクの前に立っていいかが分からない。またせりふが結構あったんだよね」と当時の自分を思い出し大きな声で笑う。「(せりふを)言おうと思うと違う人がしゃべってきて合わないし、今度は早くしゃべると早すぎてしまったりと悪戦苦闘しました。当時は(声優は)自分に合わないかもしれないという思いもありましたね」と振り返る。

 ◇今作のオプティマスは感情的

 紆余曲折を経て今や名声優の一人となった玄田さん。長年の演じているオプティマスだが、今作では「結構感情的になっている」と前作までとの違いを感じたという。「自分の仲間がやられたりしている悔しさを、感情を露わにしている場面もある」と説明し、「難しいけれど、あまり相手を許せないというような気持ちを出し過ぎると、悪役みたくなっちゃうよね」と笑いを誘い、「僕の中でそうなっちゃって、やっぱり仲間がやられると倍返しじゃすまないみたいな感じで、怒りのシーンなどでちょっと行き過ぎ(た演技)を止められたりもしました」と入れ込みすぎたことを反省する。

 今作の完成度に「新たに(恐竜型のトランスフォーマーの)ダイナボットも加わり、すさまじい戦いで見応えがある」とアピールし、「父親と娘とその恋人が葛藤の中、いろんなことをやりながら助け合っていく過程など見どころは満載」と力を込める。さらに「シリーズものは前作を超えていかなければならないハードルのようなものがあると思いますが、(本当に超えてくるというのは)やっぱりすごい」と完成作に太鼓判を押した。映画は8日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開中。3Dも同時公開。

 <プロフィル>

 1948年5月20日生まれ、岡山県出身。東宝芸能アカデミーをへて、野沢那智さん主宰の劇団・薔薇座に入団。アーノルド・シュワルツェネッガーやシルベスター・スタローンなどの吹き替えを担当していることで知られ、洋画の吹き替えやアニメなど多方面で活躍している。現在は「81プロデュース」に所属。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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