日本エレキテル連合:人気ネタには実在モデルがいた! いまさら聞けないネクストブレーク芸人

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 最近テレビやCMでちょくちょく見かけるけれど、実はあんまりよく知らない……。そんな、いまさら聞けない“ネクストブレーク芸人”の基礎知識を、本人の言葉を交えて紹介する。今回は、お笑いコンビの「日本エレキテル連合」。「いいじゃ~ないの~」と迫る高齢男性・細貝さんと「ダメよ~ダメダメ!」と断る未亡人朱美ちゃん3号でおなじみのコントで強烈なインパクトを残し、2人のものまねをする芸能人や、フレーズをまねる現象が続出している。テレビや雑誌などに引っ張りだこになっている2人のこれまでの苦労やネタ作りのこだわりなど、その素顔に迫った。

ウナギノボリ

 ◇日本エレキテル連合(にっぽん・エレキテルれんごう)とは?

 橋本小雪さん(はしもと・こゆき。1984年11月13日生まれ、兵庫県出身。趣味はカフェ巡り、特技は相方の世話)と、中野聡子さん(なかの・そうこ。83年11月12日生まれ、愛媛県出身。趣味は少女の絵を描く、衣装・小道具集め、特技は日本画)のお笑いコンビで、タイタン所属。2008年にコンビを結成し、500種類以上の衣装や小道具を収容するために、一軒家を借りて2人で住んでいる。現在、レギュラー番組はなく、ライブ中心の活動だというが、「未亡人朱美ちゃん3号」のキャラクターが人気でテレビ出演が急増。27日には、ネタDVDの第2弾「腹腹電気」(コンテンツリーグ、3240円)が発売される。

 ◇コンビ結成で“上下関係”歴然?

 朱美ちゃん3号こと橋本さんがお笑い芸人を目指したのは「目立ちたい」と思ったのがきっかけ。「昔からお笑い芸人になりたいとは思っていたんですが、思い返せば、ただ目立ちたかっただけ。自分のことを面白いと思っていたので、『きっとお笑い芸人になったら絶対売れるだろうな』と自信に満ちあふれていました」と振り返る。一方、細貝さんこと中野さんは「もちろん芸人さんは大好きだったんですが、将来自分がなろうとは思っていなかった」といい、「短大を卒業して就職したけれど、世間知らずで社会に適合できなくて5カ月しか持たなかった。1年半ニートして、『どうしようもない人でも食べていける仕事はないかな』と思って」お笑い芸人を目指したという。

 お笑いの養成所では同期で、2人ともピン芸人だったが、橋本さんが中野さんに声を掛け、頼んだのがきっかけでコンビを結成した。養成所時代について、中野さんは「養成所で唯一の女性の同期が橋本さん。自信満々で入ってきたのにたたきのめされていたので、私は橋本さんを見て『かわいそうだな、売れないんだろうな。こうならないように精進しよう』とネタを頑張っていた」と語り、橋本さんも「そのときは自信満々だったんですよね……」と苦笑した。

 コンビを組むことにした理由について、中野さんは「(橋本さんは)人柄はよかったんで『私はお笑いであなたを認めていないからすごく厳しいよ。それでもやるの? 私の言うこと、ちゃんと聞く? それでもやるなら組んでやってもいい』と言った」といい、橋本さんは「中野さんは養成所でも面白かった。私は自信はあったんですけれど、自分ではネタを考えられないし、ウケないし、何も面白いこと浮かばないから、『それでもいい』(と返事した)」と、驚きの“上下関係”を明かした。

 ◇ネタ作りは見た目重視の“衣装”先行 一時廃業の危機も…

 お笑いのスタイルは、過剰なほどディテールにこだわったコントで、ネタは中野さんが主に作っている。多彩なキャラクターは、だいたいが衣装先行で生まれた。「これを着て一枚の絵で『なんだろう、このシチュエーションは』という印象が大事。舞台の電気がパッと付いたときの、2人のインパクトを一番大事にしている」(中野さん)という。最近では、橋本さんもキャラクターのアイデアを出すといい、中野さんは「自分で我を出し過ぎない程度にやってもらうくらいの信頼関係ができてきた」と明かし、橋本さんを喜ばせた。

 しかし、衣装先行という異色のコント作りでは、一時「芸人を辞める」という危機もあった。「自分たちの問題なんですけれど、衣装を集め過ぎてお金がなくなっちゃった。コンビを組んで1年後、一度お笑いを辞めています」と橋本さん。中野さんは「酒もパチンコもやらない、ホストクラブも行かないのに借金ができたので、一度身をキレイにしなきゃ、人からの信用もなくなっちゃう」と、当時を振り返った。その後、「やっぱり離れられなかった」(中野さん)と、コンビを再結成し、「どうせやるなら憧れの先輩・爆笑問題さんがいるところでやりたい」(中野さん)と、現在所属する事務所「タイタン」のオーディションを受けた。

 ◇朱美ちゃん3号&細貝さん誕生秘話

 お笑い芸人や芸能人の間ではじわじわ人気を高めていたが、本人たちにブレークしたきっかけを聞くと、中野さんは「今年のお正月、この『未亡人朱美ちゃん3号』のネタをテレビでちゃんとやったのが初めてだった。それがすごくインパクトがあったみたい」と分析、「ただ、反響はあったんですが、ブレークはすぐではなくて、しばらく間が空いた。たぶん世間の方は戸惑ったんじゃないかと思う(笑い)。芸能人の方々が『ダメよ~ダメダメ!』と言ってくれた(からブレークした)」と話した。

 人気ネタとなった「未亡人朱美ちゃん3号」の高齢男性キャラの細貝さんは、唯一人間観察から生まれたキャラクターだという。「朱美ちゃんは見た目からですが、細貝さんは(東京の)東村山のファミレスで(演歌グループ)『ぴんから兄弟』の宮史郎さんにそっくりな男性が、水商売系の女性と2人で来て、4時間くらいずっと口説いていたんです。私たちもドリンクバーで粘って観察した。結局口説けずに終わったんですが、(やりとりが)面白かったから(細貝さんは)そのまんまです」と中野さん。橋本さんも「『可愛いくちびるして~』とか、その人が本当に言ってたんですが、『そんな口説き方するんだ……』って思った」とうなずいた。

 朱美ちゃん3号は、お笑いコントとして完成させるために実際に見た相手の女性を脚色して作ったキャラクターで「口説く細貝さんを、人形みたいに延々と断るから、『あ、アンドロイドにしよう』ってひらめいた」(中野さん)。ブレークしたフレーズ「ダメよ~ダメダメ!」は、相手の女性が言ったことではなく、何の気なしに作った断りのせりふの一つだったという。橋本さんは「私の言い方が耳に残ったみたい。せりふの人気が一人歩きしていて、こんなにヒットするとは思っていなかった」と驚き、中野さんが「今、細貝さん(のモデルになった男性)に会ったら、百万円を差し上げたい! 百万円じゃ足りない、一億円くらい差し上げたい気持ちです」と“実在モデル”に感謝した。

 ◇今後やってみたい仕事は?

 現在は「未亡人朱美ちゃん3号」の印象が強く、最新DVD「腹腹電気」には同ネタの続編も収録されているが、キャラクターは50種類以上、本人でも数え切れないほど作っているという。「私たちは白塗りの一発屋芸人じゃございません。DVD見たやつは驚くよ~」「買ってくれなきゃ~、ダメよ~ダメダメ!」と、キャラになりきってアピールする2人。おすすめのキャラクターは多々あるというが、「ほか(のキャラクター)はなかなか出してもらえないのよ……」と嘆く中野さん。今後やってみたい仕事は「ハワイに行けたらなんでもいいです。朱美ちゃんと細貝さんで、ハワイリポートなんていいな~。水着はNGだけどね」と笑顔。橋本さんも「先生とワイキキビーチを歩きたい!」と、朱美ちゃんになりきってうなずいていた。

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