SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第4話 深海の冒険!迫りくる海底の脅威
11月24日(日)放送分
23~31日に開催される「第27回東京国際映画祭(TIFF)」で、劇場版アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズなどで知られる庵野秀明監督の大型特集上映「庵野秀明の世界」が開催される。学生時代に制作した1978年の作品から、2012年公開の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」まで50作品以上を上映する企画で、「時間がたってから見ると、お客さんの目線で見ることができる。面白いことやっていたな、というのが素直な気持ち」と語る庵野監督に、これまでの活動や今後について聞いた。
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今回の企画を庵野監督に依頼したのは、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーだった。引き受けた庵野監督は自身の作品を見直してみた。そこで「映画作りは大概しんどい。楽しい思いはスタッフがしてくれればいい。監督は“しんどい担当”です」と“生みの苦しみ”を思い出したという。
今回、上映されるのは、学生時代に紙にサインペンで描いたアニメーション「ことわざ辞典 へたな鉄砲も数うちゃあたる!」(79年)や「じょうぶなタイヤ! SHADOタイヤ」(80年)、初めて東京のプロの現場で制作に携わった「超時空要塞マクロス」(82年)、アニメーターとしての自信がついたという「風の谷のナウシカ」(84年)、初めて商業作品の監督を務めた「トップをねらえ!」(88年)、一から自身で企画した「新世紀エヴァンゲリオン」(95年)、初の商業作品の実写映画「ラブ&ポップ」(98年)など転機になった作品も多い。
テレビアニメや劇場版アニメ、実写映画など数々のヒット作、話題作を生み出してきた庵野監督だが、自身のキャリアを「自分で望んであんまりやっていない。行き当たりばったりで、流されてこういうところにきている。運がいいというか、スタッフ、キャストいろんな人に恵まれている」と振り返る。
活動の中で“師匠”と呼べる人との出会いもあった。それが宮崎駿監督と、「超時空要塞マクロス」などにおけるスピーディーな戦闘シーンで知られ、そのテクニックが“板野サーカス”と呼ばれる名アニメーターの板野一郎さんだ。庵野監督は「技術的なことも学んだけれど、とくにアニメーションを作る姿勢を学び、感銘を受けた。集中力と精神力がすごく、こんなに一生懸命やるんだ、と。一日に十何時間も机で働く。机で仕事をしている分だけクオリティーの維持ができる。しない時間だけクオリティーが下がる。そのために体力の限界まで頑張る」と説明する。
師匠の“教え”は現在も大きな力になっているといい、「今もそれくらい(一日に十何時間も働くこと)になっちゃう。体力的に厳しいので毎日ではないのですが、(制作の)終わりの3、4カ月はそうです」と話す。制作中は苦しみもあるようだが、「終わったら忘れてしまう。ものを作るのは面白いんですね。過程ではなく、できたものがすべてなんで」と語る。
映画祭の特集上映が行われるということは、庵野監督がファンの前に登場する機会も設けられるかもしれない。庵野監督はファンとの交流について「そういうのがヘタで……」と言い、その理由を「作り手と会うことはいいこともあるけど、悪かったりすることもある。作り手は作品がすべてで、作り手の顔が思い浮かばないのが理想。作った人への興味があるという気持ちは自分もあったので分かる。ただ夢を壊したくない」と説明する。
テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の放送後、庵野監督はメディアで作品を語ることもあったが、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズについて語ることは少ない。庵野監督は「新劇場版に関してコメントしないのはそこ(夢を壊したくないこと)が大きい。僕が言ったことが作品の一つの答えになる。技術的な話は後日できるかもしれないけれど、内容的なことはしゃべらない。『これはああでは?』と楽しんでほしい。いずれそういう(話をする)時期も来るかもしれませんが、お客さんが十分楽しんだあとでもいいんじゃないか」と語る。
映画祭は、海外に作品をアピールする場でもある。庵野監督は日本のアニメの魅力を「日本の作品はローカルでドメスティック。日本でしか通用しない話が多いけれど、だからこそ世界中が興味を持ってくれるので、そこを突破口に広げられると思う。他国の商業作品はポピュラリティーを持っている。日本は、そういうところじゃないところに掘り下げていった。『エヴァンゲリオン』もそういった1本だと思う。世界中で喜んでいただけるものはディズニーが作ってくれればいいんじゃないか」と持論を展開する。
8月に行われた企画の発表会では、立案者の鈴木プロデューサーが「宮崎駿なきあとは、庵野秀明しかいない」と庵野監督を宮崎監督の“後継者”に任命したことも話題になった。庵野監督は鈴木プロデューサーの発言について「鈴木さんの主観ですからね。(後継者という意識は)ないですね」と冷静だ。
庵野監督は現在、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の新作を製作中で、その後の活動も注目を集めている。テレビアニメについては「体力があればですね。そういう企画があれば」、実写については「企画とチャンスがあれば、まだやってみたいと思います」と多くは語らないが、「新しいものも進めている」とも明かす。映画祭の企画では庵野監督のこれまでの軌跡を追えるが、本人はすでに前を向いており、今後の活動からも目が離せない。
「庵野秀明の世界」は24~30日、TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)で開催される。チケットは11日からticket boardで発売開始。
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