LEGO BIG MORL:活動再開後初アルバムを発表「ロックバンドというセオリーから脱却したかった

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 ギターのタナカヒロキさんのバイク事故による約1年間の活動休止をへて、今年1月に活動を再開したLEGO BIG MORLが、約3年ぶりの待望のアルバム「NEW WORLD」を22日にリリースした。これまでには用いなかった打ち込みを使いながら、同時にバンドとしての生々しさも兼ね備えた、まさに「NEW WORLD」と呼ぶにふさわしいアルバムに仕上がっている。新作について4人に話を聞いた。

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 −−昨年ギターのタナカ(ヒロキ)さんがバイク事故にあって活動休止となり、楽曲制作はタナカさんの入院中から始まったそうですが。

 カナタタケヒロさん:まず、(タナカ)ヒロキの事故があって。どうする?となったとき、ヤマモトさんがプロツールス(コンピューターの音楽制作ソフト)を使えるということで、じゃあそれを使ってやってみようかと。で、そのあとに、今こんな感じの音をやっていますと事務所の社長である小林(武史)さんに話したら、きっと合うんじゃないかということでエンジニアさんを紹介していただいて。そのエンジニアさんと一緒にやりだして、どんどん曲ができていった……。ざっくりと、こんな感じです(笑い)。

 −−その制作期間中は、新しいLEGOサウンドが着々と生み出されていった一方で、復活の時期も分からないし、ファンがどれだけ待っていてくれるかも分からないという状況で、同時に不安もあったのでは?

 タナカヒロキさん:確かに事故直後は、バンドのこと以前に一生手が動かなくなるんじゃないかと絶望しました。でも、同時にバンドの存在が、僕の不安を払拭(ふっしょく)してくれました。入院中にもどんどんデモを作って聴かせてくれたし、退院してからも今後のこととか、常に建設的なことしか話していなかったから。

 ヤマモトシンタロウさん:リリースもワンマンライブも飛ばして、何もなくなった状態になったものの、こんなところで終わりたくないし、この4人の可能性はまだあるんだという希望もあって。曲を作りながら、暗闇から光に向かうようなパワーを感じていましたね。

 アサカワヒロさん:ヤマモトからデモをもらって、すごくカッコよかったし。ヒロキが事故したときも、生きていてくれたことが、何よりの希望だったし、ケガも絶対に治ると信じていたし。活動の流れを途切れさせなかったことが、すごくよかったのだと思います。

 −−「NEW WORLD」というタイトルは、そんなバンドの第2章としてぴったりですね。そもそもどこから名付けたのですか?

 タナカさん:「スイッチ」という曲の歌詞に出てくる言葉です。デモをもらったとき、まるで「NEW WORLD」が目の前に開けているようなものを感じて。当初は、バンド名をそのまま付けて「LEGO BIG MORL」というタイトルでもいいと思っていましたけど、それだと覚悟は伝わるものの内容までは想像が付かない。「NEW WORLD」なら、覚悟も表せるし、どうニューなのか?とにおわせることもできると思って。

 −−今回は、ガンガン音を鳴らすバンドサウンドではなく、空間とか音の響きを楽しむような意識も感じました。

 ヤマモトさん:少し大人になったというか。

 カナタさん:今回は、空間とか余韻みたいなものを生かしたいと思って、音数を減らしています。僕はボーカル&ギターですけど、あえて弾かないアプローチもしていて。いわゆるロックバンドというセオリーから脱却したいという意識がありました。

 アサカワさん:音数を減らしたという部分では、デモを聴いたときシンプルで十分カッコいいと思ったし、むしろシンプルだからこそのカッコよさを感じました。

 タナカさん:空間や余韻を作るという部分では、ギターはディレイやリバーブ(音響効果の一つ)を結構使っています。前はすべてを塗りつぶすような感覚でギターを弾いていて、それはそれでカッコいいんですけど、それとは違う新しい武器を手に入れた感覚です。空間や余韻を生かす美学を学んだみたいな。

 −−あと、今作にはライカ犬をイメージした「LAIKA」という曲もあって、ジャケット写真も地球を彷彿(ほうふつ)とさせますね。今回、宇宙的なイメージもあったのですか?

 タナカさん:「スペーシー」というキーワードは、これまでのアルバムにもあったので、それは僕らのカラーの一つです。ただ、それが作品としてここまではっきり明確に表れたのは、今回が初めてじゃないかな。

 ヤマモトさんさん:今作は、デジタル的な要素を取り入れつつ、アナログと交じり合っている状態なので、アートワーク的にもあまりデジタル、デジタルしたものにはしたくなくて。サウンドの持つ硬さと柔らかさのバランスみたいなものを、うまく表現できたジャケットだと思っています。

 −−ラストに収録された「a day in the live」は、とてもキラキラとして温かみもある楽曲で、その硬さと柔らかさが、音として絶妙にマッチしたものになっていると思いました。

 カナタさん:まさにその曲では、その二つの融合が果たせました。曲自体は2年くらい前からあって、当時は思い切りバンドサウンドだったんです。そこにデジタルを取り入れたことで柔らかさが生まれ、とても心地の良い音楽に仕上がりました。僕たちの中での新しいバラードになりました。僕は、このアルバムの中でも特にこの曲が、素晴らしい革命を起こしていると思っています。こういう曲が、もっと浸透して評価されてほしいなって思いますね。

 アサカワさん:でもプレー的には、一番難しかったんですよ(笑い)。打ち込みだったデモを生ドラムに置き換えてたたいているので、グルーブ感を生み出すのが難しくて。

 −−10月の対バンツアーに引き続き、11月からはワンマンツアーがスタート。アルバムの楽曲をライブで聴くのが楽しみです。

 ヤマモトさんさん:この世界観をライブに落とし込むためのことは、制限なくやりたいと思っています。もちろんこれまでのような熱いライブ空間作りも大切にしつつ、新たなものをお見せできると思います。

 カナタさん:今までにない手応え、完成度、ストーリーを感じてもらえるものになると思います。僕ら自身もすごく楽しみです!

 <プロフィル>

 メンバーはヤマモトシンタロウさん(ベース)、カナタタケヒロさん(ボーカル&ギター)、タナカヒロキさん(ギター)、アサカワヒロさん(ドラム)。2006年に大阪で結成、09年にアルバム「Quartette Parade」でメジャーデビュー。13年にタナカさんの事故で約1年間、活動を休止、今年1月に配信シングル「Wait?」で活動を再開した。22日に約3年ぶりのアルバム「NEW WORLD」をリリースした。現在ツアー「LEGO BIG MORL TOUR2014『YOU t OUR』」を開催中。12月6日の東京・TSUTAYA O‐EASTまで、北海道、宮城、新潟、愛知、広島、大阪、福岡などを回る。

(インタビュー・文・撮影:榑林史章)

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