人気声優の竹達彩奈さんが、2枚目のアルバム「Colore Serenata」を19日にリリースした。物語のお姫様がテーマで、赤い公園やサンボマスター、川嶋あいさんなどが楽曲を提供した。可愛らしくて、カッコよく、少しシュールでちゃめっ気たっぷりな作品に仕上がっている。竹達さん自身が作詞に挑戦した楽曲も収録。新作アルバムについて竹達さんに聞いた。
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−−アルバムのタイトル「Colore Serenata(クロレ・セレナータ)」は何語でどういう意味ですか?
「Colore」は「彩り」、「Serenata」には女性をたたえる曲という意味があって、つづりと読み方はフランス語とイタリア語が交じっているので、造語みたいな感じですね(笑い)。私の名前の一文字“彩”が入っていたり、いろんな気持ちを込めました。
−−シングル曲「週末シンデレラ」をはじめ、「プリンセスの脱走計画」など、童話のお姫様がたくさん登場しますね。
「週末シンデレラ」というタイトルも私が考えたのですが、そのときから「次のアルバムはプリンセスだ!」と思っていたんです。アルバムの中に登場するプリンセスたちは、それぞれ好きな人がいたり王子様を思っていたりするので、それぞれのプリンセスのためのアルバムという感じもありますね。
−−アルバムの全体として、歌詞には「愛」というよりも、「好き」や「恋」という言葉や気持ちがたくさん出てきます。
確かに「愛」が出てくるのは、サンボマスターさんの曲くらいですね。きっと私の場合は、まだ「愛」という感じではなくて、「恋」とか「片思い」とかでドキドキしていたいんです。私が愛を語るのは、まだ早いみたいな(笑い)。絵本が好きでよく読むのですが、グリム童話とかアンデルセン童話とかでお姫様が出てくる物語には、幸せな愛の情景を描いたものはあまりないですし、愛とか情熱みたいな強いものではなくて、もっとフワフワとした気持ちを表現するのが、私には合っているのだと思います。それに好きという気持ちなら、小さい子どもでも分かるし、よりたくさんの人に共感してもらえると思うので。
−−今作には、赤い公園や先ほども名前が出たサンボマスター、川嶋あいさんといった多彩なアーティストが参加しています。
赤い公園さんは、私が声優として出演したアニメ「とある飛空士への恋歌」でエンディングテーマ「風が知ってる」を歌っていて。柔らかい印象の曲もあれば、すごくインパクトが強い曲もあったりと、世界観の使い分けがすごいと思って、機会があったらぜひ書いてほしいと思っていたんです。
−−赤い公園が提供した楽曲「クレンジングラブ」は、ウィスパーっぽい歌声で、フワフワとした雰囲気ながら、ノイジーなギターが入っていたりと、一筋縄ではいかない感じですね。
実はそのとき、足の指を骨折していて立って歌えなくて(笑い)。イスに座って歌ったので、いい意味で力が抜けた歌声になりました。女の子の可愛いところも怖いところも、両方が見え隠れする曲です。
−−「永遠にキミのことを愛したいと言わせて」は、サンボマスターが提供した曲。「~しておくれ」とかサンボさんらしい言葉遣いで、最初にせりふも入っています。
サンボさんは、ドラマ「電車男」の主題歌「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」のイメージがあって。デモをいただいたときは、まさにそのイメージのままのテイストで、せりふのところも(ボーカルの)山口隆さんがはき捨てるみたいにしゃべっていたので、最初は「(私に)できるかな? どうしよう~!」って感じでした。それをプロデューサーの小林俊太郎さんが、私らしくアレンジしてくださったので、せりふも私らしくやらせていただきました。
−−「Today」という曲は川嶋あいさんの作詞作曲で、しっとりとしたバラードですね。
川嶋さんは、(川嶋さんが所属していたユニットの)「I WiSH」時代からのファンで、いつか曲を書いてほしいと思っていたのでお願いしました。前作では奥華子さんに、応援してくれるみんなにありがとうを伝える曲「HIKARI」を書いていただいたので、今回はその感謝の気持ちからさらに一歩踏み込み、みんなのことを守って支えてあげられるような歌詞がいいなと、お話をして書いていただきました。
−−ファンに対するより強い気持ちが表現されているわけですね。
歌詞に「楽しいことだけ抱えて生きてるわけじゃない」という部分がありますが、そこは私が川嶋さんに伝えた言葉です。このアルバムが完成するまでには、大変なこともつらいこともあって、いろいろなことを乗り越えた上での、このアルバムなんだよということも込められたらいいなと思って歌いました。
−−そして、ラストの「鏡よ鏡」では作詞にチャレンジしました。
もともと自分で作詞をしたいという目標があったので、それがついにかなった曲です。「鏡よ鏡」というタイトルは決まっていて、あとは自由に書かせていただいたのですが……そもそも「鏡よ鏡」というせりふは、魔女のコンプレックスの表れで、お姫様がテーマのアルバムでそれもどうなのかな?と悩みましたが……。魔女目線ですが、魔女が王子様に向けたメッセージというか、魔女の心情を書いています。絵本が終わって「おやすみ」ってなるみたいな感じにしたくて、最後に入れさせていただきました。
−−前のアルバムよりも、歌がうまくなったような気がしましたが、ご自身では何か感じている部分はありますか?
レコーディングのとき、沖井礼二さんと俊太郎さんからもうまくなったと言っていただいたのですが、自分では自覚がなくて、何が変わったんだろう? って感じです。でもこれだけたくさんレコーディングさせていただいているので、少しはうまくなっていないと困りますよね(笑い)。
素晴らしい作家さんたちのご協力を得て、みなさんがそれぞれでパワーを発揮して心を込めて作ったアルバムなので、ぜひたくさんの方に聴いてほしいです。
−−12月に東京と大阪でライブも決まっていますね。
一人でライブをするのは、まだ慣れない部分があって。もともと人に見られるのが苦手で、最初の頃は「もう見ないでください。勘弁してください」って気持ちでした(笑い)。それが一歩前進して、昨年くらいだと「あ、見ます? 私のこと」みたいな。それが現在では「2時間くらいですけど、見ていただけませんか?」っていう気持ちになっていて。みんなと掛け声を出したり、盛り上がっているときはすごく楽しいです。私が発したものに、みんながレスポンスを返してくれることが、何よりうれしい。みんなとそういう時間を少しでも多く共有したいがために、頑張っているみたいな気持ちです。お姫様っぽい演出も考えているので、ぜひたくさんの方に見てほしいです!
<プロフィル>
たけたつ・あやな 6月23日生まれ、埼玉県出身、O型。「けいおん!」の中野梓役をはじめ、「ソードアート・オンライン」のリーファ役など、声優として人気アニメに数多く出演するほか、2012年にシングル「Sinfonia! Sinfonia!!!」でCDデビュー。これまでに6枚のシングルと2枚のアルバムをリリースしている。また、声優の悠木碧さんとのユニット「petit milady(プチミレディ)」としても活動し、15年1月7日にシングル「緋ノ糸輪廻ノGEMINI」をリリースする。12月14日に大阪・梅田芸術劇場メインホールで、12月20、21日に東京・中野サンプラザで「Live Tour 2014“Colore Serenata”」を開催する。
(インタビュー・文:榑林史章)
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