アキバ中古ゲーム市況:昨年トップはモンハン4 15年は試練の年に

 東京・秋葉原などで中古ゲームやDVDを販売する「TRADER(トレーダー)」の家庭用ゲーム部門責任者を務める小林俊一さん。1日のうちに価格がめまぐるしく変動する激戦区を見つめる小林さんに、アキバの2014年を振り返ってもらいます。

ウナギノボリ

 14年の中古ゲーム市場で一番売れたのは「モンスターハンター4」(3DS、カプコン)でした。とても息の長いタイトルとしてずっとランキングの上位をキープしました。また、Vitaタイトルも好調で、特に「ソードアート・オンライン−ホロウ・フラグメント−」(バンダイナムコゲームス)は予想以上のヒットを記録してくれました。

 意外なところでは3DダンジョンRPGがいずれも好調でした。「世界樹の迷宮」(3DS、アトラス)シリーズを筆頭に、「ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス」(同)、「ダンジョントラベラーズ2」(Vita、アクアプラス)などヒット作が多かったですね。

 さて、14年を振り返ってみると据え置きゲーム機ではPS3の市場が終盤に差しかかった年だということもできると思います。PS4も発売されましたが、まだ普及途上といったところで、PS3のタイトルのように高回転しているわけではありません。まだPS3で満足しているお客さんも多いようなので、今後どれだけ差別化を図れるタイトルが出てくるかが勝負といえそうです。

 また、例年以上にタイトルごとの売り上げの差が極端に出てしまい、“中間”のタイトルがなかったのも特徴。WiiU版の「大乱闘スマッシュブラザーズ」(任天堂)のCMが集中投下されたタイミングで3DS版が再び売れたのが好例で、宣伝をしている人気作はずっと売れるが、逆にテレビCMなどがなかったソフトは発売されたのも気付いてもらえないという状態でした。店頭でPVを流すとじっと見るお客さんも多く、売り上げにもつながっていたので、やはり改めて宣伝の大切さを痛感させられました。また、放送中のアニメ原作のゲームがヒットしたケースも多く、テレビでの露出がこれまで以上に購買につながっているといえるでしょう。

 14年も厳しかったですが、今年はさらに厳しい状況が予想されます。消費税アップが先送りされましたが、テレビゲーム市場でみると、買い控えが続く現状が好転するとは考えにくいのが正直なところ。また、不振の家庭用ゲーム市場をカバーしていたトレーディングカードゲームの市場も、事業撤退を決めたメーカーが出たりと踊り場を迎えています。お店としては試練の年になりそうです。

 ◇2014年の中古ランキング(トレーダー調べ)

 1位 モンスターハンター4(3DS)

 2位 ゴッドイーター2(Vita)

 3位 ダークソウル2(PS3)

 4位 グランド・セフト・オート5(PS3)

 5位 ゼルダの伝説 神々のトライフォース2(3DS)

 6位 ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス(3DS)

 7位 ソードアート・オンライン−ホロウ・フラグメント−通常版(Vita)

 8位 ペルソナ4 ザ・ゴールデン(Vita)

 9位 大乱闘スマッシュブラザーズ for ニンテンドー3DS(3DS)

 10位 フリーダムウォーズ(Vita)

 11位 ポケットモンスターY(3DS)

 12位 機動戦士ガンダム エクストリームバーサス フルブースト(PS3)

 13位 ザ ラスト オブ アス(PS3)

 14位 ドラッグ オン ドラグーン 3(PS3)

 15位 ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵(3DS)

 16位 モンスターハンター4G(3DS)

 17位 第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇(Vita)

 18位 真・ガンダム無双(PS3)

 19位 第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇(PS3)

 20位 戦国無双4 通常版(PS3)

 ◇プロフィル

 小林俊一(こばやし・しゅんいち) 中古ゲームショップ「トレーダー」家庭用ゲーム部門責任者

 中古専門店「トレーダー」設立時からの古参社員で、秋葉原・新宿店の家庭用ゲームすべての価格設定などを担当。ゲームの販売・仕入れ・卸などゲーム流通業界一筋で、趣味と経験を生かして、オールドゲームから海外ゲームまで精通している。

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