テレビ試写室:「デート」 杏と長谷川の“常識”をひっくり返していく会話劇が痛快

「デート~恋とはどんなものかしら~」の一場面
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「デート~恋とはどんなものかしら~」の一場面

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は19日午後9時に放送される女優の杏さん主演の“月9”ドラマ「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系)だ。

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 「リーガルハイ」(同局系)シリーズなどの脚本家・古沢良太さんが描く初の恋愛ドラマ。杏さん演じるマイペースで融通が利かない超合理主義者で結婚は「契約」と考えている東大大学院卒の国家公務員の藪下依子と、長谷川博己さん演じる働かずに親に寄生し、文学・芸術・音楽・娯楽の世界に溺れている“高等遊民”を自称する谷口巧の“恋愛不適合者”同士の恋模様が描かれる。

 頭に大きな花のコサージュをつけ、口をとがらせ謎の表情をする依子と、ツイードのジャケットに帽子という昭和の文学青年のようないでたちの巧のインパクトのある登場から物語はスタート。時間をさかのぼる形で2人がデートをすることになったそれぞれの“事情”がテンポ良く明かされていく。

 「リーガルハイ」の古沢脚本らしいリズムのある会話劇も健在。ドラマ終盤の、依子と巧が独自の理論で、恋愛と結婚は結びついたものだとする“ロマンチック・ラブ”や“常識”をことごとくひっくり返していく会話劇は痛快で、だんだん2人の生き方の方が“まっとう”に見えてくるから不思議だ。

 “リケジョ”と言われた依子の「からかっているんですよ。理系の女子は特殊な生態であるかのようにレッテルを貼って」というせりふにもある通り、マスコミや世の中への風刺と皮肉も織り交ぜつつ、社会問題も内包しているニートの老後問題もさりげなく描かれ、世相や今の日本の姿を反映した脚本に思わずうなる。記者としては、寺山修司や太宰治をいちいち引用し、うっとりと仏映画をたしなむ“理想の文系男子”の長谷川さんの姿に目がくぎ付けだった。

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