話題の書籍の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、虚淵玄(うろぶち・げん)さんが劇場版アニメ「楽園追放 −Expelled from Paradise−」を製作するにあたって影響を受けたSF小説を集めた「楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選」(早川書房)です。同社の塩澤快浩さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
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−−この書籍の魅力は?
劇場アニメ「楽園追放 −Expelled from Paradise−」の世界を構築するにあたり、脚本の虚淵玄さんが影響を受けたサイバーパンクSFの傑作を8編収録した本です。サイバーパンクというのは、1980年代のSF界を席巻した革命運動なのですが、ここでは虚淵さんのまえがきでも紹介されている、あの伊藤計劃さんの定義、「テクノロジーが人間をどう変えていくか」という“問い”を内包している作品、ということで良いと思います。
−−書籍が生まれたきっかけは?
もともとは「楽園追放」の関係者の方から、本作にちなんでポスト・アポカリプスもの(崩壊後の世界を舞台にしたSF)のアンソロジーを作りませんか、というご提案がきっかけでした。そこで、虚淵さんにインタビューさせていただいたところ、ポスト・アポカリプスものというより、神林長平氏やウォルター・ジョン・ウィリアムズなどのサイバーパンクSFの影響が大きいというお話でした。そこで、SF翻訳家の大森望さんにご協力いただき、ウィリアム・ギブスンやブルース・スターリングの初期名作から、藤井太洋、吉上亮の最先端作品までを選んでいただきました。
−−読者の反応は?
やはり、普段は活字のSFを読まない若いアニメファンの皆さんに読んでほしいと思っていました。実際は20~40代の幅広い世代の方に楽しんでいただいているようです。まあ、男性がほとんどではありますが。あとは、こんなサイバーパンクの名作の影響を受けているアニメなら見てみたいな、という逆の反響もあってうれしかったですね。
−−編集者として、この作品に関わって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
単なるノベライズではない、活字のSFとアニメーションとの回路を作れたことでしょうか。今後もいろいろと企画していきたいと思います。大変だったのは、実は翻訳SFの編集をしたのが人生で初めてだったことと、それぞれ8人の著者と訳者がいるので事務処理の膨大さですね。
−−最後に読者へ一言お願いします。
映像も活字も、SFはどちらも面白いものです。ぜひよろしくお願いします。
早川書房 第2編集部 塩澤快浩
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