三森すずこ:2枚目のアルバムは「私の中身をお見せしたような感じ」

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 声優のほか、ミルキィホームズやμ’s(ミューズ)などユニットでも活躍する三森すずこさんが、2枚目のソロアルバム「Fantastic Funfair」を8日にリリースした。遊園地をコンセプトにしたというアルバムについて、三森さんに話を聞いた。

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 −−今回どうして遊園地をテーマにしようと?

 昨年8月にリリースしたシングル「せいいっぱい、つたえたい!」のミュージックビデオ(MV)の撮影のとき、観覧車に乗って撮影したんです。その遊園地が、レトロな雰囲気ですごくいいなと思って。それで、みんなに遊園地に遊びに来てもらう感覚で聴いてもらえる、楽しいアルバムを作ってみたいと思いました。

 −−タイトルにある「Funfair」が、遊園地の意味なんですよね。

 「移動式遊園地」のことです。どんな遊園地にしようかと考えたとき、昔、「グリース」(1978年の米映画)という映画で見た移動式遊園地のシーンを思い出して。10年くらい前に日本でミュージカル版をやっていて、そのときに映画も見たんですけど、男の子のリーゼントの髪形や女の子の服もAラインスカートとか、1950年代の雰囲気がすごく可愛くて。

 −−「グリース」は、ジョン・トラボルタさんとオリビア・ニュートン・ジョンさんが出ていた映画ですよね。

 そうです。ジョン・トラボルタが不良少年の役で、夏休みに移動式遊園地で、オリビア・ニュートン・ジョンが演じたヒロインのお嬢様と出会うんです。それで夏休みが終わって、ひと夏の恋も終わったと思っていたら、新学期にそのお嬢様がクラスに転入してくるというストーリー。移動式遊園地は、いろいろな出会いや思い出が生まれる場所で、でもずっとそこにあるわけじゃないはかなさが、ロマンチックだしファンタジーだなと思って。このイメージを、何とかみんなにも共有してほしくて、「Futastic Funfair」と付けました。

 −−アルバムには、「ROLLER COASTER(ハート)」や、「ちいさな手と観覧車」など、遊園地の乗り物にちなんだ曲がたくさん収録されていますね。

 「ROLLER COASTER」はアップテンポのナンバーで、爽快感があって、初めて聴いたときからお気に入りの曲です。「ちいさな手と観覧車」は、幻想的な雰囲気もありながら、転調が多くて歌うのが大変でした。歌詞の世界観も、夕焼けを思い浮かべちゃうような、ほっこりする感じですね。ほかには、ピコピコしたデジタルサウンドで、カメラで記念写真を撮りながら遊園地を楽しむ雰囲気が味わえる「Traveling Kit」や、「不思議の国のアリス」をテーマにしたkz(livetune)さんの「Wonderland Love」なども収録しています。「Wonderland Love」はラストに収録していて、これって夢だったの?みたいに、最後にひっくり返される感覚に驚いてもらえるんじゃないかなって思います。

 −−「Traveling Kit」は、昨年の誕生日にスタッフさんから、カメラをプレゼントしてもらったこともきっかけになったとか。

 そうそう! それで、歌詞には「シャッターチャンス」という言葉が入っていたりします。デジタル一眼で、ブライス人形を撮って遊んでいます。実はそのブライスは、(声優の)堀江由衣さんからいただいたものなんです。堀江さんもブライスが好きで、たくさん持っていらっしゃるらしくて。たまたま現場でブライスの話をしたら「私のを1体あげるよ」って翌週に持って来てくださって。とても大切にしています!!

 −−あと「Heart Collection」という曲は、ちょっとダークな曲調とセクシーな雰囲気で、意外性がありました。

 遊園地でいうところの、お化け屋敷にあたる曲。私個人としてはお化け屋敷が超苦手なんですけど、遊園地には欠かせないと思って(笑い)。お化け屋敷に住んでいる孤独な女の霊が、心臓をコレクションしているという歌なので、歌詞だけ読むとちょっと怖いんです。歌ったことがなかった曲調だった分、だからこそ楽しくて、悪役を演じているような気持ちでした。MV撮影では、もっと妖艶な感じで、とか、見下すような感じで、とか、いろいろ指示されたんですけど、やったことがないのでどうしていいかわからず戸惑ってしまいましたよ。あと、黒猫のコスチュームで爪がものすごく長いんですけど、休憩時間にスマホをいじるのもままならなくて。ギャルの大変さが、身にしみてわかりました(笑い)。

 −−そんなアルバムですが、1枚目のアルバム「好きっ」(14年4月リリース)と比較して、自分にとってどんな作品になったと思いますか?

 1枚目の「好きっ」は、乙女心が全開の作品。もちろん可愛いものは大好きだし、ロマンチックな曲がたくさんあったのはうれしかったです。今回はそういう曲もありつつ、今までやっていなかったロック調やカッコイイ系、デジタル系の曲など、ずっとやりたいと思っていたものを、たくさん詰め込みました。1枚目はパブリックな三森すずこ像で、クリームパンに例えると、みんなで一緒に焼いたパンの部分。今回は、もっと奥にはこういう面もあるよって、私の中身をお見せしたような感じ。パンを割ったら、意外といろんな味のクリームが詰まっていたっていう(笑い)。

 −−世界観がグンと広がったということですね。

 逆にファンの方を惑わせてしまっているかもしれないですけどね。ミルキィホームズの「ミルキィA GO GO」のMVでは、おかっぱ頭で昭和の家族を演じたのですが、それを見たファンの方から「『Heart Collection』のMVと同じ人とは思えません!」って言われてしまって(笑い)。でも、そういう言葉はとてもうれしかったです。役者もやっている身としては、ちゃんと化けられていたということなので。私はこれですと一つに決めるのではなく、こうも行けるし、もっとこういうふうにも行けるしというのが、自分では心地いいと思っています。チャンスがあれば、もっともっと違う自分に、どんどん変身していきたいですね。

 −−そういう気持ちがあればこそ、μ’sやミルキィホームズなどいろんなユニットも並行して活動できるんでしょうね。

 そうだと思います。今年、μ’sとして「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市中央区)で2回目のライブをやったのですが、あのステージから見た景色には、信じられないくらい鳥肌が立ったし、あの景色は一生忘れないと思います。でも、それで終わりではなく、じゃあ今度は三森すずこ個人としても!と、夢がさらに広がりました。それには、声優として演じているキャラクターとは別に、三森すずこそのものをもっとたくさんの方に知っていただいて、アーティスト三森すずこを応援していただけるように頑張らないと!

 −−お仕事は充実されているようですが、プライベートはいかがですか?

 プライベートもすごく充実していますよ。地元の友達と、休みを合わせて旅行に行く機会が、ここ2年くらいすごく増えています。友達はみんな普通のお仕事をしているんですけど、一般的には結婚する年齢なので、結婚したら友達同士で旅行とか、なかなか行けなくなると思うんです。きっと友達も、そのことに気づいたんだと思うんですけど、まだみんな独身のうちに、もっと遊んでおこうっていう雰囲気になっていて。1年に1回は旅行に行こうとか、月に1回はみんなでご飯に行こうとか。みんなで集まると、必ず誰が一番先に嫁に行くか?みたいな話になりますよ(笑い)。最後まで残るのは嫌ですけど、私も含めて友達もみんないい感じでダメそうなので、ちょっと安心していますけどね(笑い)。

 <プロフィル>

 6月28日生まれ、東京都出身。女優、声優として活動。声優としてはアニメ「ラブライブ! 」の園田海未役、「てーきゅう」新庄かなえ役、「探偵歌劇ミルキィホームズTD」シャーロック・シェリンフォード役などで人気。ミルキィホームズ、μ’sなどユニットでも活動している。2013年にシングル「会いたいよ…会いたいよ!」でソロデビュー。今年6月27、28日に「Mimori Suzuko Live 2015 『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』」を開催。また4月26日まで遊園地「浅草花やしき」(東京都台東区)でコラボイベント「みもりん×浅草花やしき」を開催中。

 (インタビュ・文・撮影:榑林史章)

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