花燃ゆ:“大奥”編の変化で起死回生なるか? 文が物語の中心に

「花燃ゆ」の“大奥”編のビジュアル=NHK提供
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「花燃ゆ」の“大奥”編のビジュアル=NHK提供

 女優の井上真央さん主演のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で7月からスタートする“大奥”編のビジュアルが29日、公開された。華やかな着物に身を包んだ文(ふみ)、改め美和(井上さん)が凛(りん)と立つビジュアルで、番組開始当初に、文が久坂玄瑞(東出昌大さん)ら幕末の志士たちに囲まれ、「幕末男子の育て方。」というキャッチコピーが添えられて話題になったポスターとは随分と印象が変わった。ドラマは現在、兄の吉田松陰(伊勢谷友介さん)、久坂らを中心としたストーリーが展開されているが、“大奥”編ではがらりと変わり、美和(文)を中心とした物語になるという。視聴率で苦戦している「花燃ゆ」の今後を探った。

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 ◇サポート役から物語の中心に

 「花燃ゆ」は、幕末の長州藩士で思想家の吉田松陰の妹・文が主役のオリジナル作品。文は長州藩の尊王攘夷派の中心人物・久坂玄瑞と結婚し、久坂が死去した後は、群馬県初の県令(現在の県知事)の楫取素彦(大沢たかおさん)と再婚した人物で、ドラマでは動乱の幕末の長州で、困難を乗り越えた文の生涯が描かれている。

 ドラマは、松陰や松下村塾の塾生の久坂や高杉晋作(高良健吾さん)を中心とした物語が、文の視点で描かれている。文は塾生や松陰をサポートする立ち位置で、文と言えば、おにぎりを塾生にふるまう……というシーンを連想する視聴者も多いかもしれない。“大奥”編では、サポート役の印象が強かった文が、美和と名を改めて物語の中心に躍り出てくるという。

 ◇大奥でキャリアウーマンのようにのし上がる

 文は久坂の死後、長州藩の奥に入り、美和と名を改めて、毛利元徳の子・元昭の守り役となる。同局の小松昌代チーフプロデューサー(CP)は「大奥は江戸城にあったもので、長州藩の場合は“奥”になるのですが、分かりやすくするために、“大奥”編と呼んでいる」と説明した上で、“大奥”編について「文が物語の中心になる。それまで、松陰の妹、久坂の妻という存在だった文が、“大奥”編では、キャリアウーマンのようにのし上がっていく話になる。文は異例の出世をしていくことになる」と話す。意地悪な上司がいる“大奥”の中で、美和が斬新なアイデアで“大奥”を変えていく姿が描かれるという。

 なお、“大奥”に入った美和についてはあまり知られていないため、制作陣は、資料を探しながら、美和の軌跡を追ったという。一方で、「花燃ゆ」はドラマでもあるため、創作も加えながら、ドラマチックな展開を目指しているようだ。

 また、毛利元徳の正室・安子(銀姫)を演じる田中麗奈さんら美しい着物姿の女性が続々と登場することから、華やかなドラマになっていくようだ。“大奥”でヒロインが活躍するドラマと言えば、大ヒットした08年の大河ドラマ「篤姫」を連想するが、小松CPは「『篤姫』の主人公は姫ですが、美和はお手伝いとして“大奥”に入ることになる。また違う展開になる」と話す。

 ◇緑のビジュアルの意味

 新たなビジュアルで目を引くのが緑色の着物を着た美和の美しい姿だ。緑色を基調としたデザインについて、小松CPは「久坂は緑色の衣装が多かったのですが、美和が死んでしまった久坂の思いを背負っている……というイメージです。久坂が見ることができなかった世界を見ようとする文の姿を描きたかった」と説明する。

 “大奥”編では、華やかな着物姿の女優が続々と登場し、ヒロインのサクセスストーリーが描かれるが「もちろん全世代に見ていいただきたいのですが、女性視聴者は意識している」と話す小松CP。視聴率で苦戦している「花燃ゆ」が、新編突入による大きな変化によって巻き返しがあるかもしれない。

 「花燃ゆ」はNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送中。“大奥”編は第28話(7月12日放送)から約2カ月の放送を予定している。

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