ウメハラ:最強の男が語るプロゲーマーの心得

「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス世界記録に認定されているウメハラこと梅原大吾さん
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「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス世界記録に認定されているウメハラこと梅原大吾さん

 日本人初のプロゲーマーとして活躍しているウメハラこと梅原大吾さん(34)。世界各地を転戦して、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス世界記録に認定されている。コンピューターゲームなどで対戦する競技「e-sports(イースポーツ)」の認知度は日本ではいま一つだが、プロゲーマーは海外では憧れの職業ともなっている。梅原さんに心得を聞いた。

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 梅原さんは、小学生時代に姉の影響でゲームを始め、14歳で実質的に国内最強となり、わずか17歳で格闘ゲームの世界大会で優勝した。2004年にいったんゲームの世界から離れて福祉方面に進んだが、2009年に復活して優勝すると、米国の企業からプロ契約の誘いを受け、翌年に日本人初のプロゲーマーになり、現在も一線で活躍している。

 ゲームが好きな人から見ると、うらやましく思えるプロゲーマーだが、梅原さんはゲームについて「仕事です。もちろん嫌いではないが、仕事になってしまったので」と語る。日々、筋力トレーニングを欠かさず、規則正しい生活を送り、趣味で他のゲームを遊ぶことはないという。

 イースポーツは、1997年に米国で開かれた大会が始まりと言われており、2001年に韓国で開かれた大会「World Cyber Games」で本格化。日本では知名度が今ひとつだが、米国や中国、欧州などの各地域で開かれており、米国で開かれている格闘ゲームの「Evolution」などが有名だ。欧米では世界的な企業がスポンサーに付くこともあり、賞金額は年々上昇しており、総額1000万ドル(約12億円)、優勝賞金500万ドル(約6億円)という破格の大会も出現している。

 プロゲーマーは、メーカーとスポンサー契約を結び、世界各地で開かれる賞金付きのゲーム大会を転戦する。米国ではアスリートの扱いで、韓国では憧れの職業だ。米国の調査会社によると、競技ゲームの視聴者数は世界で7000万人以上に達するという。

 世界的なトッププレーヤーの年収は1億円を超える。梅原さんの年収は未公表だが、米国の企業と交わしたスポンサー契約、イベントなどの出演で、大会の賞金をあてにせずとも生活できるという。日本には現在8人のプロゲーマーがいる。

 ゲーム大会には、シューティングや戦略(RTS)などさまざまなジャンルがあるが、梅原さんの専門分野は対戦格闘だ。60分の1秒に当たる「1フレーム」の単位でキャラクターを操作し、難度の高い技でも的確に繰り出し、世界各地の大会で毎年のように優勝している。年間で約10の大会に参加しているが、今年は15の大会に参加する予定という。

 イースポーツの認知度が低い日本だが、今年、セガゲームスやスクウェア・エニックスの主催で大会が開かれ、プロゲーマーを育成する専門学校が登場したことも話題になるなど、関心が高まっている。一方、梅原さんは今後の競技人生について「前例がないことなので何ともいえないこともあるが、『いける』と思ううちはずっとやりたい」と現役にこだわるという。「プロとして大事にしていることは?」と尋ねると「小さなことでいいから、1日に一つ成長をメモしていくこと」と明かしており、周りから見るほど甘くない世界のようだ。

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