アニメ質問状:「うしおととら」 原作に負けない熱いフィルムに

「うしおととら」の一場面(C)藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会
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「うしおととら」の一場面(C)藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。1990年代に人気を集めた藤田和日郎(かずひろ)さんのマンガが原作の「うしおととら」です。アニメを制作するstudio VOLNの三田圭志プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

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 --作品の概要と魅力は?

 主人公・蒼月潮が“獣の槍”に縫いとめられていた妖怪・とらを解放してしまうところから物語が始まります。こんな大妖怪を野放しにするわけにはいかないと、とらを見張る潮。潮とは相反し、潮もろともこの世の人間すべてを食らい尽くしたいと思うとら。この奇妙かつ不思議な関係の2人が交わることで激しく、そして熱い化学反応が起こります。コンビを取り巻く人間、妖怪らの化学反応がよい結果を生むのか、はたまた……。それが「うしおととら」の大きな魅力なのだと感じております。

 --アニメにするときに心がけたことは?

 何と言っても藤田先生の魂の入った力強い絵ですね。その藤田先生の絵をどうやってアニメーションに落とし込む(つまり原作で既に魅力的なキャラクターたちがアニメで動いた時に視聴者の皆さまをガッカリさせないように)かが、一番大切にしているポイントです。先生はキャラごとにそれぞれどういった経緯でデザインをされたのか。人間はもちろん、妖怪一体一体にも人間との違いを出すために、一工夫も二工夫も技巧を凝らしています。その先生の熱をスタッフ一同が共有し、形にしていくことがアニメにする上での重要課題だと感じております。

 --原作者の藤田さんがシリーズ構成を担当していますが、どのように制作を進めたのでしょうか?

 「うしおととら」の原作には、読まれている方一人一人に熱い思い入れのあるベストエピソードが存在しております。もちろんアニメスタッフも作品愛が強いので、思いは当然同じです。そんな数ある素晴らしいお話の中からどれを残して、どれを割愛するか、という選択は難しい問題でした。できればすべてのエピソードを文字通り余すことなくアニメにしたいという希望でしたので(笑い)。しかし、苦渋の決断が迫られてしまったので先生のお力をお借りし、最終局面である白面の者との戦いまで!!というシリーズ構成に導いていただきました。

 --作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 やはり第1話をご覧いただいた先生からのご感想に尽きます。まだ、現場的に修正箇所を残している段階で、お見せすることになってしまったのですが、それにもかかわらずお褒めの言葉をいただくことができました。その後、放映時の修正箇所をすべて昇華しきったフィルムをご覧いただけたことで、結果的に喜びのサプライズを先生にご提供することができたと大変うれしく思っております。

 放映後に先生自ら激励のお手紙を頂戴し、スタッフに“声”として届けることができたのでよかったと思います。まさに藤田先生の「うしお」にスタッフが応えることができた! と思えた瞬間でしたね。

 --今後の見どころを教えてください。

 何と言っても後半に入ってからの激動の白面の者編です。もちろん前半も白面の者の存在をにおわせる展開は随所に入っているので、そこも見どころではありますが、最終決戦は、まさにテレビにかじりついてでも見ていただきたい内容となっております。先にも申しましたとおり、白面の者との決戦を描くことが今シリーズの使命であり目的です。最終決戦まで見逃せない展開が続きますのでどうぞご期待ください!

 --ファンへ一言お願いします。

 この作品をアニメ―ションとして手がけることができ、非常に光栄に思っております。藤田先生の原作同様、作業に応えてくれているアニメスタッフも、もちろん私も先生に負けないくらいの魂を込めて熱いフィルムに仕上げていきます。お約束します! 次週が待ち遠しくてたまらない……そんなふうに思えるような魂のこもったアニメ「うしおととら」を、一話一話見逃さずに今後ともどうぞご視聴くださいますよう、ぜひよろしくお願いいたします。

studio VOLN プロデューサー 三田圭志

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