注目映画紹介:「at Home アットホーム」 竹野内豊の父親ぶりが板についている 偽装家族の絆描く

映画「at Home アットホーム」のビジュアル (C)映画『at Home』製作委員会
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映画「at Home アットホーム」のビジュアル (C)映画『at Home』製作委員会

 本多孝好さんの小説が原作で、竹野内豊さんと松雪泰子さんが“偽装夫婦”を演じた映画「at Home アットホーム」(蝶野博監督)が22日に公開される。偽装夫婦の上、父は泥棒、母は詐欺師という“変わり種”。そして3人の子供も全員本当の家庭に問題があり、夫婦が引き取ったという5人全員が血がつながっていない“偽装家族”だ。だが本当の家族より強い絆で結ばれている。竹野内さんの父親ぶりが板についていて、見応えあり。家族とは……について考えさせられる佳作だ。

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 父・森山和彦(竹野内さん)は泥棒、母・皐月(松雪さん)は結婚詐欺師、長男・淳(坂口健太郎さん)は偽造職人。中3の長女・明日香(黒島結菜さん)と末っ子の隆史(池田優斗くん)は両親と兄が犯罪で生計を立てていることを知っている。それぞれには決して振り返りたくない過去があった。ある日、母が詐欺をはたらこうとした相手に誘拐されてしまう。母を奪還するために家族が立ち上がった……というストーリー。

 竹野内さんのいざというときに頼れる父親像が本当に理想的で、そのことによって森山家は血のつながった家族より固い絆で結ばれていることしみじみと感じさせる。それぞれは本当の家族からつらい目に遭い、飛び出した経緯があるから、なおさら絆は強固になるのだろう。お互いが家族を思いやる温かい家族。悲しい土台があるからこそ、寄り添い合う。その絆は母親が誘拐されるという危機に直面し、より固く結ばれる。誘拐犯役の「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんは猟奇的な人物を熱演。松雪さん演じる母をぼこぼこにするシーンは真に迫っている。見終わったあと、もう一度自分の家族との関係を見つめ直そうという気持ちになった。板尾創路さん、「千原兄弟」の千原せいじさんらも出演している。22日から有楽町スバル座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

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