ソニー・コンピュータエンタテインメントが2016年上半期に発売予定のプレイステーション(PS)4用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「プレイステーション(PS)VR」。スマホゲームに押されて苦戦が続く家庭用ゲーム機だが、巻き返しの“切り札”として期待を集めている。PSのコンテンツ事業を統括する伊藤雅康EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジテンド)に企画の誕生や、将来への展開などについて聞いた。
ウナギノボリ
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PS4が発売される前の2010年の秋ごろから開発が始まった。VR自体は昔からあるもので、液晶、レンズなどが小さく安価になったのが大きかった。手軽なメガネ型でなく、ゴーグル型を選んだのは、装着しづらいなどの弱点があるものの、視界をすべて覆うことで、ゲームへの没入感が欲しかったからだ。
怖いぐらい反響がいい。ただ社内でも議論しているが順調と思ってない。ショーで体験してすごいと思っても、自宅で装着して、毎日使ってもらえるかがポイントだと思っている。
価格はまだ言えない。ただ自宅で毎日使ってもらえるのがポイントと思っているから、そのためには高い値段はつけられないと思っている。もちろんPS4とセットで買ってもらえるのはありがたいが、まずはPS4を持っている人向けになる。他社のVRもあるが違いは、他社はハイエンド(高性能)のPCが必要になる。PSVRは、(ハイエンドPCより安い)PS4を買えば遊べるのが利点だ。
現在は「ゲーム酔い」を解消するべく注力している。「ゲーム酔い」は個人差が大きいものの、できるだけ万人が酔わないようにするにはどうすればいいか、ライセンシー(ソフト供給メーカー)と議論しながら制作している。その改善したソフトが出るのが来年の上半期になる。
年末に最も売りたいのはPS4で、そこにPSVRが入ると、マーケティング戦略としてぼけてしまう。ホリデーシーズンはPS4に集中したい。PSVRはその前にしっかりと売りたい。
いろいろ候補があったが、ストレートに言うほうが伝わると思った。
まずはゲームからスタートして広めていきたい。もちろん、いろいろな可能性があるのがVRで、将来的にはゲーム以外の他の分野に広げていきたい。既にゲームメーカー以外から(協力、開発の)打診もある。社名は言えないが皆が知っている企業だ。
PSVRは一度体験してもらえれば、その良さはものすごく分かると思う。発売前に全国で体験会をするのでぜひ体験してほしい。見るのとやるのでは全然違うのが分かってもらえるはずだ。
いとう・まさやす=1962年生まれ。86年ソニー入社。2000年からソニー・コンピュータエンタテインメントへ。設計生産本部を経て、14年からEVP兼PSプロダクト事業部事業部長兼ソフトウェア設計部門部門長。
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