17〜20日に開かれ、約26万8000人が来場した国内最大のゲーム展示会「東京ゲームショウ2015」。過去最大規模の480社が参加し、華やかなブースが並んだ。スマホゲーム市場の拡大でゲーム業界も変わりつつあるように、ゲームショウの存在意義も変わりつつある。ゲームショウの展望と課題を追った。
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多くの出展社が口にしたのが「ゲームショウのビジネスショー化が進んでいる」という感想だ。米国の「E3」など世界のゲーム展示会はいくつもあるが、日本の東京ゲームショウは、消費者へのプロモーションを重視する考えが根強く、一方で人脈作りといったビジネス面が弱いといわれてきた。それを受けて主催でもある業界団体のコンピュータエンターテインメント協会(CESA)がビジネス面を強化してきた。
その成果が実り、今年は過去最高となる480社が出展し、うち37カ国・地域からの246社が海外メーカーで、海外からの出展が初めて過半数を超えた。スマホゲーム会社の取り込みも成功したといえる。
だが、拡大による矛盾も抱え始めた。ゲームショウでは、これまでテレビゲームが“主役”、スマホゲームは“脇役”だったが、現在は出展ゲームの約4割がスマホゲームで、テレビゲームは2割に満たない数字となり、地位が逆転しつつある。確かにヘッドマウントディスプレーを使ったバーチャルリアリティー(VR)コンテンツは人気で、今年のゲームショウの“華”だったが、こと集客に関しては、圧倒的にスマホゲームの方が上なのは関係者の多くが認める事実。派手なブースで豪華なイベントを催すのも、現在はスマホゲームのメーカーであることが多い。
スマホゲーム会社の台頭とともにゲームショウの出展意義も変わりつつある。スマホゲームの二大巨頭である「パズル&ドラゴンズ」のガンホー・オンライン・エンターテイメントと、「モンスターストライク」のミクシィは、今年は不参加だった。「パズドラとモンストは、抜群の知名度があり、ゲームショウでアピールする必要がない。むしろ出展しても費用対効果が見込めないから見送るのは妥当だ」(大手ゲーム会社社員)と分析する。以前から出展していない任天堂に加え、今年は「妖怪ウォッチ」のレベルファイブ、XboxOneのマイクロソフトも出展しなかった。以前のゲームショウでは主要メーカーが出展を見送るだけで話題になったが、それも今は昔の話だ。
ゲームショウの費用対効果の話は、多くの出展者が指摘するもので「出展費用が安ければもっと大きなブースが構えられ、より多くの体験台も用意できるのだが」とぼやきの声が聞かれた。もちろんゲームショウへ出展することによる宣伝効果を高く評価する声は中小メーカーからあるが、今後の課題となりそうだ。
1996年に始まったゲームショウは、当時は業界の格が低かったゲーム業界の地位向上といった狙いでスタートし、日本で有数のビッグイベントに成長した。だがテレビゲームの売り上げが落ち、スマホゲームが台頭してきているにもかかわらず、既存の枠組みで進めることにきしみが生まれている。
ゲーム業界に詳しい国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表の小野憲史さんは、欧州のゲーム展示会などでは、一般向けショーとビジネス、開発者向けの会議が一体で運営されている例を挙げ、「これ以上のスペース確保は難しく、限界にあるのでは」と指摘。さらに「エリア別にビジネスと一般を分けるなどドラスティックに見直すにはいい時期に来ていると思う。このままでは(中国・上海で行われているゲーム展示会の)チャイナジョイにも勝てない時代が来るかもしれない」と話している。
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