注目映画紹介:「グラスホッパー」 生田斗真主演で人気小説を映画化 予測不能な展開から目が離せない

「グラスホッパー」のワンシーン(C)2015「グラスホッパー」製作委員会
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「グラスホッパー」のワンシーン(C)2015「グラスホッパー」製作委員会

 人気作家・伊坂幸太郎さんのベストセラー小説が原作の映画「グラスホッパー」(瀧本智行監督)が7日に公開される。元中学教師が殺された恋人の復讐(ふくしゅう)のため、裏組織に潜入したことから殺し屋をはじめ凶悪な人物たちの争いに巻き込まれていくサスペンスで、生田斗真さんが元教師の鈴木役で主演を務める。共演には、自殺屋・鯨を演じる浅野忠信さんと、ナイフが得意な殺し屋・蝉を演じるアイドルグループ「Hey!Say!JUMP」の山田涼介さんのほか、菜々緒さん、吉岡秀隆さん、村上淳さんらが多彩なキャラクター演じている。

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 ハロウィーンの夜、渋谷スクランブル交差点で起こったある事件によって恋人の百合子(波瑠さん)を失った中学校教師の鈴木(生田さん)は、復讐のため「フロイライン」という会社に潜入する。事件の背景に裏社会のドン・寺原会長(石橋蓮司さん)と息子の寺原Jr.(金児憲史さん)の存在があることを知った鈴木だったが、寺原Jr.が“押し屋”と呼ばれる殺し屋・槿(あさがお=吉岡さん)に殺されてしまう。フロイラインの女性幹部・比与子(菜々緒さん)の命令で槿を追うことになった鈴木だが、状況が変わる中で組織から追われる身となり……という展開。

 原作小説は、独特な世界観と個性的すぎるキャラクター、そして他に類を見ない疾走感が魅力だが、映画も原作のテイストを取り込みつつ、映像ならではの演出とスリリングさで楽しませてくれる。3人の登場人物の物語がパラレルで進行していく物語も絶妙なカット割りとテンポ感で見事に調和させ、打楽器をメインに音の緩急を出すなど、予測不能でスピード感あふれる世界を表現するのに成功している。生田さん、浅野さん、山田さんの3人が個性的な登場人物を緻密に作り上げ、特にパブリックイメージとは正反対の孤高で狂気を内に秘める蝉を演じきった山田さんは、原作以上の輝きを放っていた。主演の生田さんも作品ごとに異なる姿を見せて存在感を発揮し、今作ではどこまでもカッコ悪く情けない男を演じるなど、“巻き込まれ型”と表される今作にふさわしいキャラクターを見事に表現した。ハードでショッキングなシーンもあり、好みが分かれそうだが、スタイリッシュでリアルとファンタジーが融合した世界は見応え十分だ。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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