マンガ質問状:「虚構推理」 コンセプトは破天荒キャラ・琴子の「ファンになってもらう」

「虚構推理」1巻のカバー
1 / 1
「虚構推理」1巻のカバー

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、城平京さん原作、片瀬茶柴さんマンガの「虚構推理」です。「月刊少年マガジン」(講談社)編集部の小川翼さんに作品の魅力を聞きました。
 
 --この作品の魅力は?

ウナギノボリ

 小さくて可愛らしい見た目の女の子(岩永琴子)は、振られたばかりの男(桜川九郎)に言い寄ったと思ったら、結婚を申し込んじゃったり、パンチラも気にせず化け物相手に蹴りを入れちゃったり、美少女にはあるまじきことを言っちゃったりする、前代未聞の破天荒キャラです。

 「え、じゃあこの作品はコメディーなの?」と思うかもしれませんが、それだけではありません。実は彼女は、幼少期に怪異にさらわれ、片眼片足を奪われる“一眼一足”になって以来、そのものたちの争いごとや問題を鎮める“怪異知恵の神”の役割を担っているのです。そんな琴子が繰り広げる怪異バトルや伝奇ミステリー、恋愛模様がこの作品の魅力です。

 --作品が生まれたきっかけは?

 マンガ版『虚構推理』は、原作小説「虚構推理 鋼人七瀬」、そして城平京先生のファンたちによって作られています。私ももちろん大ファンですし、マンガを担当している片瀬茶柴先生も原作小説に“一読ぼれ”したうちの一人です。そんなファンたちが城平先生の元に詰めかけて「マンガ化させてください!」とお願いし、ご了承いただきました。

 ちなみに、幸いなことに城平先生もマンガ版「虚構推理」のファンになっていただけました! ただ、その結果、城平先生の監修なしでマンガは進めていく、ということになりました。その点、片瀬先生は時々「不安です」とぼやいていますが(笑い)。

 --原作とあえて変えているところはありますか?

 マンガ版のコンセプトは“とにかく主人公・琴子のファンになってもらう”でした。原作小説が破格に面白いので、その面白さを余すところなく伝えたいが、マンガ化するにあたっては、基本、文章量はできるだけ削ぎ落とさないといけない。でも、“それはしたくない”というのが片瀬先生と編集部の共通意見でした。

 そのため片瀬先生には、とにかく琴子の魅力を最大限引き上げ、彼女の行動、言動であれば何でも見たい、知りたいと思ってもらえるようなキャラクター作りを意識していただきました。すると、琴子が縦横無尽に動く動く! そして、それを受けて、ほかのキャラクターも生き生きとしていき、ついにはこのお話の敵役である鋼人七瀬でさえも好きになってもらえるような側面が垣間見えるようになりました。片瀬先生のキャラクター愛は、本当に素晴らしいです。尊敬しています。

  --編集の際、苦労した点、面白かったエピソードを教えてください。

 いちばん苦労したのは、第1話の締め切りですね(笑い)。そもそも「マガジンR」の創刊(2015年4月に創刊しました)には到底間に合わないスケジュールで進行していたのですが、「もちろん創刊号からスタートするよね?」とチーフに言われたその日から、通常ではありえない速度で進めていくことになりました。

 第1話は83ページと非常にボリュームがあるので、間に合わなかった時は、最低でも40ページくらいは載せる。あとどれくらい載せられるかは片瀬先生の頑張り次第……と、最後までどうなるか分からない状況でした。本当に間に合ったのが奇跡に近いです。もうあんな第1話の進行はしたくないですね……。と言いつつ、最近でも同じような経験がほかの作品であったのですが(笑い)。

 --今後の展開は?

 現在発売中の第2巻のラストに入っている次巻予告にも書かせていただいているのですが、本当の物語は、ここから始まります。今回のインタビューではお伝えしきれていない「虚構推理」の最重要要素である“ミステリー”が怒涛(どとう)の勢いで始まっていきますので、楽しみにしていてください。

 --読者へ一言お願いします。

 その気になる第2巻の続きが19日発売「マガジンR」16年1号で読めますのでぜひチェックしてみてください!また、原作小説の文庫版が15日に発売となりました。こちらもぜひよろしくお願いいたします!!

月刊少年マガジン編集部 小川翼

マンガ 最新記事