MD松尾のヒット解析:TSUTAYA年間1位は「モンスターハンタークロス」 “昨年よりも霧が晴れてきた”

 TSUTAYAで加盟店にゲームソフトの商品提案をしているマーチャンダイザー(MD)の松尾武人さん。バイヤー歴10年以上の経験からソフトの特徴に合わせた商品展開を得意としている松尾さんが、2015年の年間ランキング(15年1月1日~12月23日)を基に、今年のゲーム市場を振り返った。

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 TSUTAYAの年間トップは11月に発売された「モンスターハンタークロス」(3DS、カプコン)でした。2位以下にダブルスコアをつける大差となりましたが、これは私たちの予想もはるかに上回っています。ヒットの理由については、PSP版の「2ndG」「3rd」を遊んだ後、しばらく家庭用ゲームから遠ざかっていたユーザーを取り込めたのが大きかった。実際旧作のモンスターが出ると告知されてからの予約の伸びはすさまじいものがありました。

 2015年のゲーム市場を振り返る上で「スプラトゥーン」(WiiU、任天堂)も忘れてはならないタイトルです。ジャンルとしては、いわゆる「TPS」(三人称視点シューティング)にあたり、これまでキッズ向けのジャンルではなかったのですが、「任天堂が作るとこうなる」という見本のようなタイトルでした。ジャンルの裾野を広げることに大きく貢献したといえるでしょう。実際のところ、“シューター系”のゲームの人気も昨年に比べて再燃しているように感じますね。

 人気の「妖怪ウォッチ」は今年も好調でした。7月に発売された「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊」(3DS、レベルファイブ)も12月に入って再び伸びており、8月の売り上げに迫る勢い。アニメとゲームがリンクしているので息の長い展開ができることに加え、作品がギャグテイストなので、臨機応変に変更しやすいのも大きいですね。単なる一過性の現象ではなく、文化として残り始めていると感じます。

 「モンスターストライク」(3DS、ミクシィ)は、同じくスマホゲームから生まれた2年前の「パズドラZ」(同、ガンホーオンラインエンターテイメント)を踏襲する動きでよく売れています。今後もスマホから家庭用ゲーム機に進出するパターンが加速度的に増えるのではないでしょうか。

 来年を考えてみると、より一層スマホゲームと家庭用ゲーム機の垣根がなくなっていくのではないかと考えています。一つのコンテンツを複数のプラットフォームで展開し、さらに連携などの相乗効果も生み出すという流れになっていくのではないでしょうか。そして、やはりそのカギを握るのはDeNAと提携した任天堂でしょうね。

 また、据え置き機はPS4、携帯機は3DSという二極化がさらに進む中で、両ハードとも「ドラゴンクエスト11」(スクウェア・エニックス)を筆頭に、タイトルラインアップが強力。それを考えると、今回11位に「メタルギアソリッド5」(コナミデジタルエンタテインメント)のPS4版が入ったのは今後を考えると好材料です。ここに任天堂の新型ゲーム機「NX」やソニーの「プレイステーションVR」などが入ってくればさらなる上ぶれも期待できるのではないでしょうか。昨年よりも霧が晴れてきたというイメージが持てるようになりました。

 ◇ゲームソフトTSUTAYA年間ランキング(1月1日~12月23日)

1位 モンスターハンタークロス(3DS)

2位 ドラゴンクエスト8(3DS)

3位 どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー(3DS)

4位 妖怪ウォッチバスターズ 白犬隊(3DS)

5位 スプラトゥーン(WiiU)

6位 ドラゴンクエストヒーローズ(PS3)

7位 妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団(3DS)

8位 リズム天国 ザ・ベスト+(3DS)

9位 モンスターストライク(3DS)

10位 テイルズ オブ ゼスティリア(PS3)

次点 メタルギアソリッド5(PS4)

 ◇プロフィル

 松尾武人(まつお・たけと) TSUTAYAゲームリサイクル企画グループ リーダー

 「GAME TSUTAYA」加盟約550店に新作ゲームの商品提案をするマーチャンダイザー。1996年から家電量販店でゲームのバイヤーを担当。2002年にTSUTAYA入社後も一貫してバイヤーの道を歩んできた。ネオジオCDを2台購入したほどの格闘ゲーム好きだったが、現在は携帯版ドラクエなどで遊ぶ日々が続いている。

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