MD松尾のヒット解析:TSUTAYA年間1位は「モンスターハンター4G」 15年は“変わり目”

 TSUTAYAで加盟店にゲームソフトの商品提案をしているマーチャンダイザー(MD)の松尾武人さん。バイヤー歴10年以上の経験からソフトの特徴に合わせた商品展開を得意としている松尾さんが、2014年の年間ランキング(14年1月1日~12月14日)を基に、今年のゲーム市場を振り返った。

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 14年全体を振り返ってみると、前年に引き続き3DSタイトルが圧倒的な売り上げでランキングの上位を占めました。とはいえ好調だったとは言いづらく、特に4~6月にかけては有力なタイトルがほとんどなかったこともあり、かなり厳しかった。とても悪いといわれた前年をさらに下回る“危機的状態”でした。後半では9月もあまりよくありませんでしたが、年末商戦の12月で盛り返しています。

 さて、ランキングを見てみるとやはり3DSがナンバーワンのゲーム機であることを実感します。3DS本体の売れ行きとしては前年の躍進の反動から減少していますが、ソフト市場では「妖怪ウォッチ」シリーズ(レベルファイブ)が躍進したほか、「大乱闘スマッシュブラザーズ for ニンテンドー3DS」(任天堂)などのビッグタイトルが9月以降に発売。本体の販売も9~12月で復調の兆しをみせました。

 前年躍進をみせたVitaですが、今年はやや厳しかった。特に9~12月に有力タイトルがほとんどなかったことが大きいですね。前年は本体の値下げに加え、「ゴッドイーター2」(バンダイナムコゲームス)、「ファイナルファンタジー10/10−2」(スクウェア・エニックス)などのビッグタイトルがハードの普及にも貢献したのですが、今年はさびしかったと言わざるをえません。

 据え置き機市場のビッグニュースといえば、2月のPS4の発売ですが、一年を振り返ってみると、PS3とPS4の販売台数の合計が前年のPS3の販売台数とほぼ同程度。先日の「メタルスライムエディション」も売り切れる人気でしたし着々と世代交代が進んでいるといえるでしょう。ただ、乗り換えを援護してくれるようなタイトルがほとんど発売されなかったのは残念。新作の発売が途切れるという乏しいラインアップの問題は他のハードにもいえますね。また、WiiUは前年並みの売れ行きで、「マリオカート8」「ゼルダ無双」「大乱闘スマッシュブラザーズ for WiiU」(いずれも任天堂)などの有力タイトルも結果を残しました。

 来年は業界全体が“変わり目”を迎えるとみています。特に海外で躍進しているPS4は大きな伸びが期待できそう。(バーチャルリアリティーを楽しめるヘッドマウントディスプレー)「オキュラスリフト」(VR社)や「プロジェクトモーフィアス」(ソニー)などゲーム業界全体を見渡すと、体験型デバイスにも注目が集まっており、そうした新しい動きも市場に影響を与えるかもしれませんね。

◇ゲームソフトTSUTAYA年間ランキング(1月1日~12月14日)

 1位 モンスターハンター4G(3DS)

 2位 大乱闘スマッシュブラザーズ for ニンテンドー3DS(3DS)

 3位 妖怪ウォッチ2 本家(3DS)

 4位 妖怪ウォッチ2 真打(3DS)

 5位 妖怪ウォッチ2 元祖(3DS)

 6位 ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵(3DS)

 7位 ポケットモンスター アルファサファイア(3DS)

 8位 ポケットモンスター オメガルビー(3DS)

 9位 妖怪ウォッチ(3DS)

 10位 マリオカート8(WiiU)

 11位 星のカービィ トリプルデラックス(3DS)

 12位 パズドラZ(3DS)

 13位 ダークソウル2(PS3)

 14位 機動戦士ガンダム エクストリームバーサス フルブースト(PS3)

 15位 フリーダムウォーズ(Vita)

 16位 マリオパーティ アイランドツアー(3DS)

 17位 龍が如く 維新!(PS3)

 18位 戦国無双4(PS3)

 19位 メタルギアソリッド5 グラウンド・ゼロズ(PS3)

 20位 戦国BASARA4(PS3)

 ◇プロフィル

 松尾武人(まつお・たけと) TSUTAYAゲームリサイクル企画グループ リーダー

 「GAME TSUTAYA」加盟約500店に新作ゲームの商品提案をするマーチャンダイザー。1996年から家電量販店でゲームのバイヤーを担当。2002年にTSUTAYA入社後も一貫してバイヤーの道を歩んできた。ネオジオCDを2台購入したほどの格闘ゲーム好きだったが、現在は携帯版ドラクエなどで遊ぶ日々が続いている。

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