テレビ質問状:「たったひとりの伝統芸~女道楽・内海英華の粋~」伝統芸能の奥深い魅力を伝える

「ノンフィクションW たったひとりの伝統芸~女道楽・内海英華の粋~」での内海英華さん
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「ノンフィクションW たったひとりの伝統芸~女道楽・内海英華の粋~」での内海英華さん

 WOWOWは毎週土曜に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。1月9日午後1時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW たったひとりの伝統芸~女道楽・内海英華の粋~」の番組プロデューサーを務めるWOWOW制作部の曽山睦子さんに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 --番組の概要と魅力は?

 一度は途絶えた「女道楽」という伝統芸能を、現代によみがえらせ、未来へつなごうとしている女性がいる。内海英華・55歳。「女道楽」とは、都々逸、端唄、小唄、漫談、踊りなどさまざまな芸を、三味線を奏でながら舞台で披露する演芸。かつては江戸でも上方でも寄席の色物として高座に掛けられていたが、その芸の難しさゆえに途絶えた。それを復活させ文化庁芸術祭賞大賞を受賞するとともに、上方落語の寄席囃子方としても第一人者として多くの噺家(はなしか)から慕われる存在である彼女が、自らの未来を模索しながら、さらなる高みを目指し奮闘する姿を通して、伝統芸能の奥深い魅力を伝えていく。

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 私自身、上方落語に興味を持ち、囃子方としての内海英華さんの実力も、女道楽を演じる姿もかねて知るところでした。既に周囲からその実力を認められている彼女が今、自分の未来や芸の継承に悩み、突破口を求めていく姿を追うことで、普段なかなか目にすることができない伝統芸の奥深い世界を知ってもらえるのではないかと考えました。三味線、唄、踊り、しゃべり、すべてにおいて高い技術を求められる「女道楽」の魅力を、一人でも多くの方に感じてもらえればとも思いました。

 --制作中、一番に心がけたことは?

 才色兼備の内海英華さんの真摯(しんし)な姿を、いかに美しく伝えることができるか、そして、奥深い芸の世界を、いかに魅力的に見せていくことができるかということを考えて、今回は、できる限り単眼レンズを使用してもらいました。もちろん、それを使いこなせるカメラマンの技術があってこそのものですが、そんな映像の世界も楽しんでいただければと思います。

 --番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 継承者不足への不安や、自らの未来を模索する中で彼女が決めたことは、江戸で長唄三味線方として活躍する松永鉄九郎さんとの「ふたり会」。落語の囃子方も務める彼とは共通点も多く、東西の三味線第一人者ともいえる2人の競演に向けた取り組みは、練習風景でさえ、かなりの見応えがあります。しかし、もともとサービス精神が旺盛な2人は、緊張感を持ちつつも、とにかくスタッフを楽しませようとしてくれるのです。

 笑いの中に見せる芸を究めていこうとする2人の真剣な一瞬を、ぜひ感じ取ってもらえればと思います。

 --番組の見どころを教えてください。

 もちろん! 内海英華さんと松永鉄九郎さんの「ふたり会」に向けた練習の様子と、本番での競演です。ある意味三味線格闘技ともいえる、難易度の高い曲を一緒に演奏します。ご期待ください!

 WOWOW 制作部 プロデューサー 曽山睦子

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