キアヌ・リーブス:「砂上の法廷」で弁護士役 「監督は弁護士としての表現を見つける自由を与えてくれた」

ハント監督と役作りのため舞台となったニューオリンズを訪れたというキアヌ・リーブスさん
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ハント監督と役作りのため舞台となったニューオリンズを訪れたというキアヌ・リーブスさん

 キアヌ・リーブスさん主演の映画「砂上の法廷」(コートニー・ハント監督)が25日から公開中だ。リーブスさんが演じるのは、父親殺しの容疑で逮捕された17歳の青年の弁護士リチャード・ラムゼイ。青年が完全黙秘を続ける中、ラムゼイが、圧倒的に形勢不利な裁判に挑んでいくという法廷スリラーだ。「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)や「コールド マウンテン」(03年)などの作品で知られるレニー・ゼルウィガーさんが青年の母に扮(ふん)し、映画「フローズン・リバー」(08年)を手掛けたハント監督がメガホンをとった。「脚本もプロジェクトも素晴らしくて、出演するのが楽しみだった」と語るキアヌさんに、電話で話を聞いた。

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 ――なぜこの作品に出演しようと思ったのでしょうか。

 脚本を受け取ったとき、監督がコートニー・ハントだと聞かされた。彼女のことは、「フローズン・リバー」を見て以来の大ファンなんだ。(ニコラス・カザンさんによる)脚本と、僕が演じるキャラクターにも魅力を感じた。

 ――どのようなところに魅力を感じたのですか。

 タイトル(原題)は「THE WHOLE TRUTH(完全な真実)」だけれども、登場する誰もがうそをついている。それも、異なる種類のうそをね。それらは、記憶に付随したうそかもしれない。その中心に愛情がある。そして、殺人もある。とても賢く、ユーモアがあり、洗練された、大人の脚本だと思ったんだ。それにラムゼイには、父親殺しの罪で裁かれる若者を救おうとする情熱がある。

 ――ハント監督は弁護士資格を持っているそうですが、ラムゼイを演じるにあたり、監督とはどんな話をしましたか。

 コートニーは脚本を発展させるのが実にうまいんだ。映画の舞台はルイジアナ州のニューオリンズだけれど、コートニーとは、最初の段階の数週間、一緒にそこを訪れ、弁護士と会い、法廷にも行った。そうすることで、彼女は僕に、弁護士としての表現を見つける自由を与えてくれた。それに彼女は、僕が自分で冒頭陳述や最終弁論に取り組めるようにしてくれたんだ。法律を勉強した経験がある彼女にとって、(裁判を)正しく描くことは重要なことだった。彼女と一緒に作業を進めるのは、とてもエキサイティングだったよ。

 ――ラムゼイは、証人たちから真実を引き出すことで、沈黙を守り続けるマイケルの顔色をうかがっている節がありますが、そういったことを含め、演技面で意識したのはどのようなことですか。

 (声の)トーンレベルを意識した。あとは、いつ、何を、どれくらい見せるのか。例えば、ラムゼイは裁判所に入ったとき、トイレで吐いているよね。でも、その後に立つ法廷では強さが見られる。そういう、本当の彼と、繕っている彼の“差”が興味深いところなんだ。だけどそれは、ラムゼイだけでなく、法廷に立つ人みんながそうだと思うんだ。そこが、僕がこの役に一番引かれた部分であり、この作品の面白いところなんじゃないかな。

 ――ラムゼイはオートバイで移動しますが、これはあなたがバイク好きなことと関係ありますか。

 もともと脚本でそういう設定だったんだ。だけど、どんなバイクがいいかは自分でアイデアを出して決めた。クラシックでありながら、すごく乗りがいのあるバイクをイメージして、レトロ感のあるBMWにした。

 ――ゼルウィガーさんとの共演はいかがでしたか。

 初めて彼女をスクリーンで見た時からファンだったから、共演を楽しみにしていた。レニーは、とてもすてきで優しい、可愛いところがある人だ。その一方で、演技に関してはずば抜けた技術の持ち主で、“その瞬間”を表現しているんだけれど、演技をしていることを感じさせない。それに、僕と同じで古風なところがある。気合を入れて仕事に向かうけど、遊び心も忘れていない。共演できて本当によかったよ。信頼できる素晴らしい人だよ。

 ――今回の作品は、あなたにとってどのような作品になりましたか。

 素晴らしい共演者に恵まれた。特に、監督のコートニーは、何がリアルなのかということに対して鋭い目を持っていて、作り物という部分をなるべく取り除いた、よりリアルなものを、というアプローチの取り方をしていた。もちろんこれは映画だから作り物ではあるけれど、クリーンというか、無駄をそぎ落とした、本質をとらえた作品になったと思う。

 ――これまでプロデュース作が何作かあり、また、13年には「キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー」で監督業に進出しました。今後の抱負を教えてください。

 ダークコメディーをやりたくて、いくつか作品に出演させてもらっている。久しぶりのコメディーは楽しかったよ(笑い)。監督もまたやってみたいと思っているけど、どういう作品にするかは探しているところだ。プロデューサーとして手掛けた作品には成功も失敗もあったけれど(笑い)、一つの作品を作り上げるというクリエーティブな作業は大好きだから、今後もやっていきたいと思っている。

 <プロフィル>

 1964年生まれ、レバノン出身。カナダのトロントで育ち、テレビ番組や地元の舞台に出演したのち、米ロサンゼルスに移住。86年に映画デビュー。「ビルとテッドの大冒険」(89年)が大ヒットし、シリーズ化される。「マイ・プライベート・アイダホ」や「ハートブルー」(ともに91年)を経て、「スピード」(94年)の大ヒットでトップスターの仲間入りを果たす。人気を決定づけたのは「マトリックス」(99年)。2003年には、その続編「リローデット」と「レボリューションズ」が公開。15年には「ジョン・ウィック」で久しぶりのアクションを見せファンを喜ばせた。ほかの作品に「イルマーレ」(06年)、「地球が静止する日」(08年)、「47RONIN」(13年)、製作も務めた「フェイク・クライム」(10年)などがある。13年には「キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー」で監督デビューを果たした。出演待機作に「The Neon Demon」「The Bad Batch」、「ジョン・ウィック」の続編「John Wick 2」がある。

 (文:りんたいこ)

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