田辺誠一:NHKドラマで初のシェフ役に挑戦 料理も絵も「記憶に残ってくれるとうれしい」

「最後のレストラン」で天才シェフ・園場凌役を演じる田辺誠一さん=NHK提供
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「最後のレストラン」で天才シェフ・園場凌役を演じる田辺誠一さん=NHK提供

 俳優の田辺誠一さんが主演するNHK・BSプレミアムの連続ドラマ「最後のレストラン」が26日から放送される。今作は、現代のレストランにタイムスリップしてきた織田信長やクレオパトラら歴史上の人物に、フレンチの天才シェフが料理で挑むという内容で、田辺さんは天才シェフ・園場凌(そのば・しのぐ)役を演じる。田辺さんに園場役を演じた感想や、料理と“画伯”活動との共通点などについて聞いた。

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 「最後のレストラン」は藤栄道彦さんが「月刊コミック@バンチ」(新潮社)で連載中のグルメマンガが原作。現代のレストランにタイムスリップしてきた織田信長や土方歳三、クレオパトラ、ナポレオン、坂本龍馬など歴史上の偉人たちの無理難題なオーダーに、天才フレンチシェフの園場凌が挑む……という内容。第1話に信長役で竹中直人さん、第2話にクレオパトラ役で小沢真珠さんが出演する。

 今回、初めての料理人役を演じたという田辺さん。演じる園場は、追いつめられるとその場しのぎですぐに逃げ出す癖があるが、優れた料理の技術や発想力を持つ孤高の天才シェフだ。田辺さんは、普段料理は「妻がいないときに子供のためにするぐらい」で、ほとんどしないというが、「技術的なことは(ドラマに)そんなに出てこないので。人に喜んでもらって、それが商売になるというのは、クリエーティブという意味では僕たちの仕事と近いのかな」と語る。初めてのコック服は「気持ちいいんですよ。役になり切れる。(コックの格好で)休憩していると、誰が見ても厨房の人が休んでいるようにしか見えない(笑い)」と冗談めかして語る。

 癖のある性格が独特のキャラクターだが、意外にも自身との共通点はある、と田辺さん。「自信はあるようで自信が持てなかったり、弱気だったり……」と重なる部分を挙げ、今作でも「(主演なので)真ん中に立たなきゃならないんですけど、僕の場合は性格的に、引っ張って盛り上げていくというよりは、周りの人がやりやすいように現場を作る、という感じですね」と表現する。

 とはいえ、個性的なキャラクターゆえに存在感は抜群で、中には思わず笑ってしまうユーモアあふれるシーンも。特に注目したいのはアドリブで演じたという“気絶”シーンだ。園場は、追いつめられたり緊張が解けたりすると気絶する癖があるが、田辺さんは寝込むように気絶する姿など“新しい気絶”の仕方を披露している。「(主人公は)膝も壊したくないし、頭も打ちたくないから、自分の中のリアリティーとして(考えた)。ちょいちょいそういうのを入れていました」とほほ笑む。

 ところで、料理の心得はそんなにないという田辺さんだが、芸術的な一面として、個展を開くなど“画伯”としての活動を積極的に行っている。フレンチのシェフも芸術的な要素が強い職業だが、画伯活動との共通点などはあるのだろうか。田辺さんは少し考したのち、「自分が何かを作って人が喜んでくれたらうれしいな、という共通項があるのかな、と思います」と語り、「全力で作って提供して、それを人が喜んでくれる、記憶に残る。食事も絵も、記憶に残ってくれるとうれしいなと思います」と笑顔で語った。

 ちなみに、田辺さん自身は、“最後”にどのような料理を、どのようなシチュエーションで食べたいのか? 「子供の頃の記憶が大きいと思うんですが……」と前置きし、「豚のしょうが焼きが食べたいですね。欲をいえば、そこにグリーンピースご飯があれば、なお幸せだな、と」と語る。そして、「(最後は)家族で自宅がいいですね。家族そろっていられるといいです。たっぷりショウガをすって……」と楽しそうに笑った。

 ドラマ「最後のレストラン」はNHK・BSプレミアムで26日から毎週火曜午後11時15分に放送。

 <プロフィル>

 たなべ・せいいち。1969年生まれ。東京都出身。映画は「リング0~バースデイ」(2000年)、「ハッピーフライト」(08年)、「恋するヴァンパイア」(15年)など出演多数。テレビドラマの主演作は大河ドラマ「風林火山」(07年)、WOWOW「撃てない警官」(16年)などがある。

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